【第1話】トーメイ湖の主竜様の影【 ペンダントトップ】

第１話 手に取った石はぼんやりと輝き まるで魂まで吸い込まれそうな 得体の知れない何かを感じた。 長く人が触れていないのか埃がうっすら積もっている。 埃を拭き取ればさらに輝きが増すだろう。 ふと店主が話しかけて来た。 『それは東の大きな凍りつく湖 トーメイ湖の主とされる竜の力が封じ込められた物さ。 君のようなヒヨッコに扱える代物じゃないね』 私はムッとして答える。 『ここは駆け出し冒険者歓迎の店だろう。 ヒヨッコに売る気が無い物ならば 大事にガラスケースにでも入れておけば良い。』 乱暴に埃まみれの石を棚に戻し店主へ背を向けて歩きだした。 『まぁまぁ。君に似合う取っておきがあるのさ。』 店主は奥へ引っ込むとまだ埃の付いていない 小ぶりな石を私の目の前に差し出した。 手渡されたその淡青の石は 雫のように加工され ドラゴンの羽根を模した飾り羽根が片側に付いている。 指で角度を変えながら覗き込むとキラキラと反射し 影のような物が浮かび上がっていた。 『偉大なるドラゴンは稀に影を落す。 その影を封じ込めた物がその石さ。 君がさっき手にしていたトーメイ湖の主の影だ。 今の君にはこれがお似合いだよ。 影でもお守りの効果は充分だろうからね。 それに、、、』 言葉を切ると 私の胸元へそっと合わせる。 『今しがた巻き終わったばかりだが どうだろう。 君の為に誂えたようにピッタリだ。』 言われて見れば石はしっくりと 私の胸元に収まっていた。 まるで元からここにあったように。 『いくらだ。』 『金貨2枚。』 店主はすかさず答えた。 『待っていなさい。 直ぐに首飾りに仕立てよう。』 私の返事も待たず 瞬く間にチョーカーを拵え持ってきてこう言った。 『毎度あり。金貨1枚にまけておこう。 当店は駆け出し冒険者歓迎の店だからね。どうぞご贔屓に。』 しぶしぶ代価を支払い店を出た私の胸元で ドラゴンの影が動いた気がするのは 恐らく気のせいだろう。 .。*゜+.*.。☆゜+..。*゜+。.゜☆.。*゜+.*.。. レジン作品のペンダントトップです。 お手持ちのチェーン等に通してお使いください。 こちらでチョーカー、チェーンもご用意しています。