ミラクル様専用【第2話】古の護り石【チョーカー】夕月夜＆薄暮 セット

第２話 チリリ！ 乱暴に扉を開けるとスイングベルがけたたましく鳴った。 石を巻いていた手を止め顔を上げる店主に詰め寄る。 「おや、いらっしゃ・・！」 言い終わる前に胸ぐらを掴む。 「この店の商品は一体なんなのだ！」 店主は慌てる様子も無い。 「まあ待ちなさい。まずはこの手を離して少し落ち着いたらどうだい？ 先日耳長族にもらった美味しいお茶を入れよう。」 お茶を飲みつつ全て話し終わると店主が口を開いた。 「そんな危険な冒険で駆け出しのキミが無傷で帰ってきたなんて幸運じゃないか。」 店主はこちらの胸元を指差すと言葉を続ける。 「その空っぽの首飾りを見ればわかるさ。主竜の影が君を守ってくれたんだろう？ 命が助かったなら安い買い物だったんじゃないかい？」 確かにこの店の品の効能を身を以て知ってしまった今 ここの装備品無しで旅に出ることに躊躇してしまう。 そう思わせるほどの強烈な体験だったのだ。死を思わせる程の・・・。 「キミに法外な値段で売りつけようなんて思っちゃいない。ただヒトツだけ・・・」 そら来たと身構える。 「また土産話を持ってきてくれれば良いのさ。」 さらりと言うと店の奥から古びた小箱を持ってきた。 店主が御呪いを唱えるとぴたりと閉じていた箱の合わせ目からうっすらと光が漏れだした。 あまりの眩しさに目が眩んだ次の瞬間、光は拡散し元の薄暗い店に戻った。 箱の中の石に目を奪われる。まるで黄昏色の針金で装飾が施された石は 煌びやかに光る他の装飾品とは違い、落ち着いた光を放っている。 「これは太古神々の時代に石の神が命を吹き込んだとされる《古の護り石》の一つ。世界に何個存在するか分からないがね。 どうだい？落ち着いた色の石に私の施した針金の装飾は・・・ぴったりだろう？」 自慢げに頷くと指を二本出してみせた。 ・・・また金貨二枚か・・・ ため息をつき代金を支払うと 手際よく首紐に石を通し前回と同じく首飾りにしてくれた。 「その石の土産話も楽しみにしているよ。新しい品も用意しておこう。 キミが次に店に来るときは、また新しい装備品が入用な時だろうからね。」 店主は片目を瞑って見せた。 チタンワイヤー、ガラスビーズ、天眼石