黒猫とハロウィンの夜 第1話|小さな出発

黒猫とハロウィンの夜 第1話|小さな出発

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いつもなら、そろそろ眠りにつく時間です。 けれど今夜、黒猫はちっとも眠くなりませんでした。 窓の向こうで、街の灯りがゆらゆら揺れています。 玄関先には、にっこり笑うかぼちゃ。 通りには、オレンジ色のランタン。 見慣れた街なのに、今夜だけはどこか遠い国のよう。 影はいつもより長く伸び、風に揺れる木の枝は、秘密をささやいているようでした。 黒猫は窓辺に前足をかけ、耳をぴんと立てました。 遠くから、子どもたちの笑い声。 どこかで鳴る鈴の音。 甘いお菓子の匂いに混じって、冷たい夜の空気が流れてきます。 「あっちで、何をしているんだろう」 好奇心が、胸の奥で小さく跳ねました。 黒猫はそっと玄関を抜け出し、大きなかぼちゃの上に飛び乗りました。 かぼちゃの表面はひんやりしていて、ランタンの灯りが丸い影を落としています。 見上げた空には、まんまるの月。 薄い雲が月の前を通り過ぎるたび、街は明るくなったり、少しだけ暗くなったりしました。 黒猫は一度だけ、家を振り返りました。 窓には、いつものあたたかな灯り。 あの灯りの中には、安心できる寝床と、帰りを待つ場所があります。 「少しだけ、見てくるね」 誰に言うでもなく、黒猫は小さくつぶやきました。 そして、かぼちゃから静かに降りました。 石畳を、こつん、こつん。 落ち葉を、かさり、かさり。 ランタンの灯りをひとつ、またひとつと目印にして、黒猫は歩き始めます。 角を曲がった先には、まだ見たことのない夜の景色が待っているかもしれません。 もしかしたら、空を飛ぶものや、影の中に隠れているものにも出会えるかもしれません。 黒猫のしっぽが、期待に揺れました。 こうして、ハロウィンの夜の小さな冒険が始まります。 ――第2話へ続く。 https://minne.com/@komorebi-dp/letters/135541 *この物語の絵を、使える紙ものにしました* 黒猫が歩き出した月夜の街や、かぼちゃ、ランタンを描いたイラストとデザインペーパーを合わせた、12枚の印刷用データです。 小さな贈りもののラッピングに、手帳やコラージュに。 物語の一場面を切り取り、あなたの手元で楽しんでみませんか。 販売するハンドメイド作品のラッピングにもお使いいただけます。 作品は、ギャラリーの黒猫のハロウィンセットからご覧ください。 https://minne.com/items/46432277

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