空が、薄い桃色に変わり始めていました。
トムテが雪の坂を下りていくと、
木立のそばで、トナカイが顔を上げました。
耳をぴんと立てて、
こちらを見ています。
トムテは、小さく手を振りました。
雪を踏む音が近づいて、
ふたりの足跡が、ひとつの場所で重なります。
トナカイは鼻先を寄せ、
トムテの帽子についた雪の匂いをかぎました。
「よく眠っていたよ」
トムテがそう言うと、
トナカイは、ゆっくりまばたきをしました。
それから、空になったポケットを確かめるように、
もう一度、鼻を近づけます。
トムテは少し笑って、
その前足に、手袋の手を添えました。
夜のあいだ、誰かのそばにいたトムテにも、
帰りを待っていてくれる相手がいました。
しばらく並んで朝の街を眺めていると、
トムテの口から、大きなあくびがひとつ。
トナカイはゆっくり向きを変え、
ヤドリギの茂る木の下へ歩き始めました。
トムテも、そのあとをついていきました。
——最終話へつづく。
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