黒猫とハロウィンの夜 第6話|ただいまの灯り

黒猫とハロウィンの夜 第6話|ただいまの灯り

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家の前には、魔女が立っていました。 帽子は少し傾き、髪には小さな葉っぱがついています。 ほうきも壁に立て掛けたまま。 その上で、コウモリが羽を休めていました。 黒猫を見つけると、魔女は階段を駆け下りました。 黒猫も走りました。 いつもなら立ち止まって匂いを嗅ぐ植木鉢も、今夜は通り過ぎます。 魔女の腕に抱き上げられた途端、黒猫は顔をその胸に押しつけました。 「どこまで行っていたの」 声は少し厳しかったけれど、抱く腕はいつもよりしっかりしていました。 黒猫は、小さく鳴きました。 街の灯りを見たこと。 自分の影に驚いたこと。 コウモリに道を教えてもらったこと。 話したいことは、たくさんありました。 でも今は、喉の奥からごろごろと音が出るばかりです。 お菓子屋のおばあさんが、門のところで笑いました。 「お店の前にいたのよ。帰り道を思い出したみたい」 魔女は何度もお礼を言いました。 おばあさんは、ポケットの包みを差し出しました。 「探し回って、お疲れでしょう。これを食べて、ひと息ついて」 紫のリボンが結ばれた、小さな包み。 魔女が開くと、少し欠けたかぼちゃのクッキーが二枚入っていました。 「形は悪いけれど、味は同じだからね」 魔女は笑いました。 黒猫はその顔を見て、ようやく耳をまっすぐ立てました。 コウモリは、ほうきの上から飛び立ちました。 「それじゃあ、僕も帰るよ」 黒猫は魔女の腕から顔を出しました。 「また会える?」 「かぼちゃ畑にいるよ。次は、帰り道を覚えてからおいで」 魔女が黒猫の頭を、指先で軽くなでました。 「それと、出かける前に私にも知らせてね」 黒猫は今度こそ、はっきり鳴きました。 おばあさんとコウモリを見送って、二人は家に入りました。 魔女はお茶をいれ、黒猫はいつもの寝床に丸くなりました。 窓の外では、オレンジ色のランタンが夜風に揺れています。 小さな炎は、まるで眠らない星のように、石畳や家々の壁へやわらかな光をこぼしていました。 紫色の影がその光に重なり、街全体が、夢の中へ続くハロウィンの景色に変わっています。 あの灯りの向こうには、今夜できた友だちがいます。 遠くの窓辺にも、かぼちゃのランタンや蝋燭の明かりがぽつぽつと浮かび、誰かの帰りを待つ小さな星のように瞬いていました。 黒猫は窓を眺め、それから魔女を見ました。 次に出かける時は、一緒に歩こう。 自分の影が大きくなる街角も、お菓子屋さんの窓も、今度は魔女に見せたいのです。 黒猫は目を閉じました。 窓辺から差し込む橙色の光が、丸くなった背中をそっと包みます。 夢の中ではもう、かぼちゃ畑へ続く道を覚えていました。 その道の先には、月明かりとランタンの光が重なり、あたたかな夜が静かに待っていました。 ――おしまい。 *物語の続きを、あなたの手元で* 黒猫が歩いた街、出会ったコウモリ、お菓子屋さんの窓。 この夜の6場面を、イラストとデザインペーパーにしました。 小さな贈りものを包んだり、手帳に好きな場面を貼ったり。 お気に入りの絵柄を選んで、あなたの紙ものづくりに取り入れてみてください。 販売するハンドメイド作品のラッピングにもご利用いただけます。 イラスト6枚+デザインペーパー6枚の印刷用データ。 黒猫のハロウィンセットは、ギャラリーからご覧ください。 https://minne.com/items/46432277

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