灯りを追いかけて歩くうちに、黒猫は街の通りへ出ました。
軒先には、赤や紫のランタンがいくつも並んでいます。
窓辺では、かぼちゃのおばけが笑っていました。
石畳には、揺れる灯りが丸くこぼれ、風が吹くたびに形を変えています。
黒猫は、暗い路地を避けて、明るいところを選びながら歩きました。
けれど、ランタンの灯りは、どこか不思議でした。
さっきまで前にあった影が、いつの間にか横に伸びています。
誰かが後ろを歩いているように見えて、黒猫は何度も振り返りました。
そのとき、目の前に大きな黒い猫が現れました。
黒猫は足を止め、背中の毛をふくらませます。
大きな猫も、じっとこちらを見ています。
黒猫が首をかしげると、向こうも同じように首をかしげました。
その瞬間、風が吹き、ランタンの灯りが揺れました。
大きな黒い猫は、石畳の上でゆらりと形を変えます。
なんのことはありません。
ランタンに照らされた、自分の影でした。
黒猫はほっとしましたが、影はまだ足元でゆらゆら揺れています。
まるで、黒猫より先に歩き出そうとしているようでした。
黒猫は影から目をそらし、しっぽを立てて歩き出しました。
通りの先では、仮装した子どもたちが角を曲がっていきます。
手にした袋が揺れるたび、かさかさと音がしました。
その音を追いかけようとした、そのとき。
頭の上を、小さな影がすっと横切りました。
黒猫は立ち止まりました。
鳥でしょうか。
でも、羽ばたく音はほとんど聞こえません。
ランタンの灯りが、ひとつ、ふっと消えました。
暗くなった空の下で、小さな影だけが、屋根の向こうへ滑るように進んでいきます。
黒猫は耳をぴんと立てました。
影は街の明るい通りを離れ、街外れの暗がりへ向かっています。
その先には、古い柵と、風に揺れる大きな葉のようなものが見えました。
小さな影は、そこで一度だけ振り返りました。
黒猫を待っているのでしょうか。
それとも、誘っているのでしょうか。
影はもう一度、くるりと飛びました。
黒猫はしばらく迷いました。
けれど、影の向こうから、知らない夜の匂いが流れてきます。
黒猫はそっと足を踏み出しました。
ランタンの灯りが届かない場所へ。
小さな影が消えていった、街外れへ。
――第3話へ続く。
https://minne.com/@komorebi-dp/letters/135657
*物語の灯りを、ラッピングにも*
この街角のイラストや、ランタン柄のデザインペーパーを印刷して、小さな袋やラッピングの帯に。
クラフト紙に重ねれば、いつもの贈りものにもハロウィンの雰囲気を添えられます。
作品の世界観に合わせて、赤や紫、黒のリボンを添えるのもおすすめです。
黒猫のイラスト6枚とデザインペーパー6枚を合わせた、印刷用データのセットです。
販売するハンドメイド作品のラッピングにもお使いいただけます。
作品はギャラリーの黒猫のハロウィンセットからご覧ください。
https://minne.com/items/46432277