黒猫とハロウィンの夜 第3話|かぼちゃ畑の案内役

黒猫とハロウィンの夜 第3話|かぼちゃ畑の案内役

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小さな影を追いかけて、黒猫は街外れのかぼちゃ畑まで来ました。 ここには、通りのような賑やかな声はありません。 風が吹くたび、かぼちゃの大きな葉がこすれ合っています。 さっきの影は、どこへ行ったのでしょう。 黒猫が鼻をひくひくさせると、頭の上から声がしました。 「そんなに下ばかり見ていたら、見つからないよ」 見上げると、柵に一匹のコウモリがぶら下がっていました。 黒猫は思わず、一歩下がりました。 「きみだったの?」 「そう。ずっと僕についてきていたでしょう」 コウモリが羽を広げると、黒猫の耳が横に倒れました。 近くで見る羽は、思っていたより大きかったのです。 「……僕を、どこかへ連れていくつもり?」 コウモリは、きょとんとしました。 「僕は帰ってきただけだよ。ここが僕の家だから」 黒猫は、立てていたしっぽをそっと下ろしました。 自分が勝手についてきたのに、相手を怪しんでしまったのです。 「ごめん。今夜の街は、知らないものばかりで」 「それなら、僕から見ても同じだね。かぼちゃ畑に猫が来るなんて、珍しいもの」 二匹は顔を見合わせました。 黒猫は少しだけ、肩の力が抜けました。 けれど、静かになった畑には、さっきまで気づかなかった音が聞こえてきました。 遠くで、何かが葉を踏むような音。 風のせいかもしれません。 それでも黒猫は、耳をぴんと立てました。 「街へ戻る道、わかる?」 そう聞かれて振り返ると、かぼちゃの葉に隠れて、入ってきた道が見えません。 右にも、左にも、同じような柵。 どちらへ進めばいいのか、わからなくなっていました。 黒猫は黙ってしまいました。 帰り道が見つからない不安と、まだ知らない何かに出会えるかもしれない期待が、胸の中で入り混じります。 コウモリは柵から飛び立ち、畑の上を一周しました。 その羽音が遠ざかるたび、黒猫は空を見上げました。 コウモリが戻ってこなかったら、ここでひとりになってしまう。 そう思ったとき、月明かりの中に小さな影が戻ってきました。 「あっち。灯りが三つ並んでいるところだよ」 空からなら、道が見えるのです。 黒猫はほっとして、教えられた方へ歩き出しました。 かぼちゃの間を抜けるたび、遠くの灯りが少しずつ近づいてきます。 そのときでした。 コウモリが急に羽ばたく向きを変えました。 羽音が止まり、畑の上に短い静けさが落ちます。 黒猫も足を止めました。 「どうしたの?」 コウモリは月の方を見たまま、低い声で言いました。 「おや。今夜は、空にもお客さんだ」 黒猫が見上げると、月のそばを、長いほうきに乗った影が横切っていきます。 風が強くなり、黒猫の毛がふわりと揺れました。 影は一度、月の前で大きくなり、それからゆっくりと遠ざかっていきます。 黒猫には、そのとんがり帽子に見覚えがありました。 ――第4話へ続く。 https://minne.com/@komorebi-dp/letters/135659 *かぼちゃも、コウモリも、物語の登場人物* セットには、この場面のイラストに加えて、かぼちゃ柄やコウモリ柄のデザインペーパーも入っています。 小さなお菓子袋やラッピングの帯にして、黒猫が出会った夜の景色を楽しめます。 黒猫のハロウィンセットは、ギャラリーからご覧ください。 https://minne.com/items/46432277

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