Vintage Christmas Storybook    第4話 夜の街へ

Vintage Christmas Storybook 第4話 夜の街へ

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鈴の音を響かせながら、 ソリは雪の夜空を走っていた。 サンタの横には、 あの手紙が大切にしまわれている。 「次の街まで、あと十二分です」 後ろから妖精の声がした。 「十二分?」 サンタは思わず振り返った。 「そんなことまで分かるのか」 「もちろんです」 妖精は得意そうに、 手元の画面を見せた。 渋滞もない。 道に迷うこともない。 天気も、到着時間も、 全部分かる。 「ほんとうに便利な時代じゃな」 サンタはそう言って、 再び前を向いた。 やがて、遠くに街の灯りが見えてきた。 たくさんの家。 たくさんの窓。 色とりどりのイルミネーション。 屋根の上には大きなサンタ。 庭には光るトナカイ。 窓辺では、 子どもたちが小さな画面を見つめていた。 昔はこの時間になると、 「もうサンタさん来たかな」 「まだ寝たふりしてよう」 そんな声が、 煙突のそばから聞こえてきたものだった。 今はどうなんじゃろう。 サンタは、少しだけ首をかしげた。 そのとき。 一軒の家の窓辺に、 小さな影が見えた。 子どもがひとり、 外を見ている。 手には何も持っていない。 ただ、夜空を見上げていた。 「……おや?」 サンタは手綱を少し引いた。 けれどソリは、 その家を通り過ぎていく。 「サンタさん、どうしました?」 「いや」 サンタは振り返りながら答えた。 「なんでもない」 けれど、 胸の奥に何かが引っかかった。 ポケットの中の手紙に、 そっと手を触れる。 「今年も来てくれますか?」 あの言葉が、 もう一度頭の中に浮かんだ。 もしかすると。 あの子が待っているのは、 プレゼントではないのかもしれない。 サンタはしばらく黙っていた。 そして、 少しだけソリの速度を落とした。 「なあ」 妖精たちが顔を上げる。 「今年は、少しくらい遅れてもいいかのう」 妖精たちは驚いた顔をした。 いつものサンタなら、 絶対に言わない言葉だった。 この物語りの世界から生まれた素材集はこちら https://minne.com/items/46375133

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