Vintage Christmas Storybook     第5話 テーブルの上の小さな贈りもの

Vintage Christmas Storybook 第5話 テーブルの上の小さな贈りもの

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ソリは、静かに一軒の家の屋根へ降りた。 サンタはポケットから、 あの手紙を取り出した。 住所を、もう一度確かめる。 「ここじゃな」 窓の明かりは消えている。 家の中は、しんと静かだった。 サンタはいつものように、 音を立てないように中へ入った。 リビングには、小さなクリスマスツリー。 その下には、 まだ何も置かれていない。 サンタは袋を床に下ろした。 「さて……」 けれど、手が止まった。 この子は、 欲しいものを書いていない。 何を置けばいいんじゃろう。 ゲーム? おもちゃ? ぬいぐるみ? 考えても、 答えは出てこなかった。 そのときだった。 部屋の隅にある小さなテーブルが、 目に入った。 お皿の上には、 少し形のいびつなクッキーが数枚。 その横には、 小さなコップ。 そして、 折りたたまれた紙が一枚置いてあった。 サンタは、 そっと紙を開いた。 そこには、 クレヨンでこう書かれていた。 「サンタさんへ きてくれてありがとう」 サンタは、しばらく動かなかった。 まだ何も届けていないのに。 まだ会ってもいないのに。 その子はもう、 「ありがとう」と書いていた。 サンタは、 もう一度クッキーを見た。 上手に丸くはない。 少し焦げているものもある。 それでも、 きっと一生懸命作ったのだろう。 「……そうか」 サンタは、小さくつぶやいた。 この子が待っていたのは、 欲しいものではなくて、 “サンタが来ること”そのものだったのかもしれない。 サンタは、 赤い袋から手を離した。 そして、 しばらくテーブルの前に立っていた。 何を置いて帰るかよりも、 今はもっと大切なことを 思い出しかけていた。 この物語りの世界から生まれた素材集はこちら https://minne.com/items/46375133

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