Vintage Christmas Storybook  第2話 ほしいものが書いていない手紙

Vintage Christmas Storybook 第2話 ほしいものが書いていない手紙

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サンタは、机の上に置かれていた封筒をゆっくり開いた。 中から出てきたのは、小さな一枚の紙。 赤や青のクレヨンで、端の方に星やツリーが描かれている。 真ん中には、大きな文字でこう書いてあった。 「サンタさんへ」 サンタは眼鏡をかけ直した。 その下には、こう続いていた。 ⸻ ことしもきてくれますか? ぼくは、まだほしいものがきまっていません。 おかあさんに 「はやくきめないと、サンタさんこまるよ」 といわれました。 でも、ほんとうにきてくれるなら、 なんでもいいです。 ⸻ 「……なんでも、いい?」 サンタは思わず声に出した。 妖精たちも、手を止めた。 毎年届くお願いのほとんどには、 おもちゃの名前や、色や、大きさまで細かく書いてある。 最近では商品番号まで書かれていることも珍しくない。 けれど、この手紙には何も書いていなかった。 ゲームでもない。 おもちゃでもない。 服でもない。 ただ、 「今年も来てくれますか?」 それだけだった。 サンタはしばらく手紙を見つめた。 「困りましたね」 妖精が言った。 「欲しいものが分からないと、準備できません」 「そうじゃな」 サンタはそう答えながらも、手紙を置こうとはしなかった。 昔なら、こういう手紙を読むと、 「さて、何を持って行こうか」 と考えるのが楽しかった。 けれど最近のサンタは、 間違えないこと。 遅れないこと。 注文通りに届けること。 そんなことばかり考えていた。 サンタはもう一度、手紙を読み返した。 そして、小さくつぶやいた。 「……この子は、何を待っとるんじゃろうな」 妖精たちは顔を見合わせた。 答えは、誰にも分からなかった。 サンタはその手紙だけを、 ほかの注文書とは別の場所に置いた。 「この子は、どこに住んどる?」 妖精たちはすぐに地図を広げ、 一人はスマートフォンの画面をのぞき込んだ。 サンタも地図を見つめながら、 もう一度、あの言葉を思い出していた。 「今年も来てくれますか?」 今年のクリスマスに、 ひとつだけ、 注文番号のない仕事が増えた。 この物語りの世界から生まれた素材集はこちら https://minne.com/items/46375133

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