『ゴミ箱に入らなかった言葉』という本を作りました。
名前の通り、
まあまあゴミです。
段ボール。
包装紙。
破れた紙。
布の切れ端。
使い終わったパッケージ。
空になった薬のシート。
普通なら、
「はい、燃えるゴミ」
「これはプラかな?」
「いや、分別わからん」
となるものたちを、
私は捨てずに机へ集めました。
そして、
「これ、ページにできるな」
と考え始めました。
この時点で、
一般的な片付けの概念とは少し仲が悪いです。
本を作っている机には見えなかった
制作中の机の上は、
なかなか酷い状態でした。
紙。
ゴミ。
ハサミ。
糊。
印刷した文章。
写真。
正体不明の切れ端。
あと、
「これ何かに使えそう」
と思って取っておいたもの。
この
「何かに使えそう」
という言葉は、物を捨てられない人間にとって非常に危険です。
でも今回は、本当に使いました。
偉い。
段ボールを切って、
包装紙を重ねて、
布を貼って、
文字を書いて、
写真を貼る。
普通のノートなら
ページをめくれば同じ厚さの紙が続きます。
この本は違います。
急に段ボールが出ます。
次は薄い紙。
その次は薬の空シート。
ページをめくる側にも、
多少の覚悟を要求します。
綺麗に作ろうとすると、なんか違う
最初は私も、
「もう少し整えた方がいいかな」
と思いました。
紙を真っ直ぐ切ったり、
配置を揃えたり、
なるべく綺麗に貼ったり。
でも途中で、
これを綺麗に作りすぎたら
意味がないのでは?
と思い始めました。
だってゴミです。
ゴミを使っているのに、
高級文具みたいな顔をされても困る。
だから少しくらい曲がっていてもいい。
破れていてもいい。
貼った跡が見えてもいい。
むしろ、
「一生懸命ちゃんと作ったのに、
ちゃんと汚い」
くらいがちょうどいい。
そんな絶妙なラインを探しながら作りました。
捨てるはずだったものに、文章を置いてみる
紙が決まったら、
そこに文章を置いていきました。
詩。
短歌。
エッセイ。
書き殴った言葉。
写真。
その日の気持ち。
不思議なもので、
真っ白な紙に文章を書くのと、
一度役目を終えた包装紙に書くのとでは、
同じ言葉でも少し違って見えます。
綺麗な紙なら、
文章が作品になる。
段ボールなら、
落書きにも見える。
でも私は、
その境目がかなり好きでした。
「これは作品なのか?」
と聞かれても、
作った本人も、
まだ少し考えています。
一冊作るたびに、物理的にも重くなる
この本、
制作が進むほど
どんどん厚くなりました。
当たり前です。
紙だけではありません。
布も貼る。
写真も貼る。
段ボールも入る。
薬の空シートまで入る。
最終的に、
本というより
感情を詰め込みすぎた物体
みたいになってきました。
ページも綺麗には閉じません。
少し膨らみます。
でも、それが妙に気に入っています。
人間だって、
色々抱えていれば
多少膨らむものです。
本も同じです。
たぶん。
同じものは、もう作れません
この作品は一点物です。
似たものなら作れます。
でも、
全く同じものは作れません。
同じ包装紙が手に入るとは限らない。
同じ破れ方をした紙もない。
同じ日に、
同じ文章を書くこともできない。
同じ気分で
同じ場所に糊を塗ることもできません。
だから、
完成した本を見たとき、
「これ、もう一回作れって言われたら無理だな」
と思いました。
作品として非常に頼もしいのか、
商品として非常に面倒なのか。
判断に困るところです。
ゴミだったものが、本棚に行くかもしれない
もともとは、
捨てられるはずだったものです。
それが今は、
一冊の本になって、
誰かの本棚へ行く可能性があります。
そう考えると、
ちょっと面白い。
ゴミ箱へ向かう予定だった段ボールが、
「本です」
みたいな顔をして
誰かの部屋に置かれる。
随分な出世です。
そして私は、
それに値段までつけました。
人生、
何が商品になるかわかりません。
『ゴミ箱に入らなかった言葉』は、
minneで販売しています。
綺麗な本ではありません。
真っ直ぐでもありません。
同じものも二度と作れません。
でも、
捨てられるはずだったものに、
捨てられなかった言葉を詰め込みました。
「何これ」
と思ってもらえたら、
たぶんこの本としては大成功です。
よかったら、
商品ページを覗いてみてください。
一点物アートブック
『ゴミ箱に入らなかった言葉』
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