ハンドメイドマーケット minne(ミンネ)
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時をしまった庭|ME-4

350
残り1

ひとり1まで

0

作品説明

秋の気配が、庭の奥まで届く頃。 少女は、いつもは入らない古い温室のそばを歩いていた。 そこには長い間使われていない、小さな部屋がある。 扉は少しだけ開いていた。 風に押されたのかもしれない。 少女がそっと中を覗くと、 棚の上に一冊の古い本が置かれていた。 本の隣には、古びた時計。 けれど、その針は動いていなかった。 少女は本を手に取った。 表紙には何も書かれていない。 そっとページを開くと、 そこにはこの庭のことが綴られていた。 春に咲いた花。 夏の強い陽射し。 雨の日の庭。 そして――秋。 見覚えのある花のことも、 庭を渡っていった風のことも書かれている。 まるで誰かが、 この庭で過ごした時間を一つずつ残していたようだった。 少女は最後のページを開いた。 そこには、短い一文だけが残されていた。 「忘れたくない時間は、ここに置いていきます。」 少女は、しばらくその言葉を眺めていた。 隣の時計は、相変わらず止まったまま。 けれど不思議と、 止まっているようには感じなかった。 この時計は時間を進めるためではなく、 大切な時間をしまっておくために、ここで止まったのかもしれない。 少女はそう思った。 本を閉じる。 そして自分も、この秋のことを残しておきたいと思った。 花の色。 庭を渡った風。 髪に飾った小さな花。 そして今日、 この古い部屋で見つけた一冊の本。 少女は一枚の便箋を取り出し、静かに書き始めた。 ――今日、古い庭で止まった時計を見つけました。 そこには、忘れたくない時間が眠っていました。 手紙を折り、封をする。 最後に、古い本と時計の印を封蝋に残した。 琥珀色の封蝋は、 夕暮れの光を受けて静かに輝いていた。 少女は本を元の場所へ戻す。 そして部屋の扉を閉じた。 またいつか、 誰かがこの庭を訪れたとき。 この本を開けば、 今日という日の記憶も、きっとそこに残っている。 時間は過ぎていく。 けれど―― 大切に封じた記憶は、 時間の中で消えることなく、そっと眠り続ける。 黄昏の庭に、 ひとつの秋の記憶が加わった。
秋の気配が、庭の奥まで届く頃。 少女は、いつもは入らない古い温室のそばを歩いていた。 そこには長い間使われていない、小さな部屋がある。 扉は少しだけ開いていた。 風に押されたのかもしれない。 少女がそっと中を覗くと、 棚の上に一冊の古い本が置かれていた。 本の隣には、古びた時計。 けれど、その針は動いていなかった。 少女は本を手に取った。 表紙には何も書かれていない。 そっとページを開くと、 そこにはこの庭のことが綴られていた。 春に咲いた花。 夏の強い陽射し。 雨の日の庭。 そして――秋。 見覚えのある花のことも、 庭を渡っていった風のことも書かれている。 まるで誰かが、 この庭で過ごした時間を一つずつ残していたようだった。 少女は最後のページを開いた。 そこには、短い一文だけが残されていた。 「忘れたくない時間は、ここに置いていきます。」 少女は、しばらくその言葉を眺めていた。 隣の時計は、相変わらず止まったまま。 けれど不思議と、 止まっているようには感じなかった。 この時計は時間を進めるためではなく、 大切な時間をしまっておくために、ここで止まったのかもしれない。 少女はそう思った。 本を閉じる。 そして自分も、この秋のことを残しておきたいと思った。 花の色。 庭を渡った風。 髪に飾った小さな花。 そして今日、 この古い部屋で見つけた一冊の本。 少女は一枚の便箋を取り出し、静かに書き始めた。 ――今日、古い庭で止まった時計を見つけました。 そこには、忘れたくない時間が眠っていました。 手紙を折り、封をする。 最後に、古い本と時計の印を封蝋に残した。 琥珀色の封蝋は、 夕暮れの光を受けて静かに輝いていた。 少女は本を元の場所へ戻す。 そして部屋の扉を閉じた。 またいつか、 誰かがこの庭を訪れたとき。 この本を開けば、 今日という日の記憶も、きっとそこに残っている。 時間は過ぎていく。 けれど―― 大切に封じた記憶は、 時間の中で消えることなく、そっと眠り続ける。 黄昏の庭に、 ひとつの秋の記憶が加わった。

作品情報

サイズ

重さ 1g/縦3cm横3cm

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購入の際の注意点

ご購入前にご確認ください。 ・ひとつひとつ手作業で制作しております。 色の混ざり方や気泡の入り方に個体差がございます。 ・強い力を加えると割れる可能性がありますので、お取り扱いにはご注意ください。 ・撮影環境により、実際の色味と多少異なる場合がございます。 ・封蝋パーツとしての販売です。 粘着加工はしておりません。 小さなゆらぎも含めて、 作品の個性としてお楽しみいただけましたら幸いです。

レビュー