小雨の上がった夕方、
りゃんシーは祠で祠狐の子が泣いているのを見つけた。
「どうした?親とはぐれた?」
「……お姉ちゃんがいないの……すがた見の池のほうで……」
狐の“匂い”は普通の匂いと違って、
音みたいに漂っていく。
くうかいが空気をくんと嗅ぐ。
「りゃんシー、あっち。ちょっと甘い匂いがする。
迷子の匂いだよ」
二人と一匹は川沿いを進み、
池の縁で、薄い桃色の毛をした大きな祠狐を見つけた。
水面を覗き込んで、ずっと動かない。
「何してんの、おまえ」
わずかに震えて、祠狐は振り返った。
「……子どもを探していたの。でも、影が騒がしくて……」
りゃんシーは子狐を差し出す。
「あいよ、見つけた。はい再会、よかったな」
祠狐は子狐を抱きしめ、
くうかいはほっとして尻尾を揺らした。
「りゃんシーってさ、こういうの見つけるの得意だよね」
くうかいが呟いた。
りゃんシーは肩をすくめた。
「匂いが残ってるだけだよ。
この街じゃ、泣くとすぐわかるんだ」