もしも、「特別に好きな花はありますか?」と聞かれたら、わたしは次の3つを答えます。
ヒメツルソバ、ヒメヒオウギ、そしてニワゼキショウ。
個人的に、特に思い入れが強く、毎年、会うのが楽しみな花です。桜が散って、すっかり春らしい陽気になると、この3つの花が道端で咲きはじめます。
その3つの中で、今回はニワゼキショウの話です。
アヤメ科の一年草。街路樹の下や芝生など、「ちょっとした土」がある陽当たりの良い場所でよく見かけます。
色は白と紫の2色。真ん中の紫と黄色の紋様がチャームポイント。花だけでなく、鞠のような実も可愛らしい、魅力たっぷりの植物です。昔は、断トツで白いニワゼキショウが好きでした。けれど、最近は紫のニワゼキショウの魅力にも惹かれています。
原産地はアメリカのテキサス州周辺。明治期に観賞用として輸入されました。最初に輸入した人は素晴らしいですね。あの姿と日本庭園の組み合わせはピッタリだと思います。庭石菖という名前がついたのも、きっと庭石のそばで咲く姿が印象的だったのだと思います。
ニワゼキショウとの最初の出会いが具体的にどうだったのかは覚えていませんが、あまりの美しさに、一瞬で心を奪われたのは覚えています。佇まいの美しさ。薫風にそよぐ姿の優雅さ。すぐにスマホで検索。当時は画像検索ではなく「白い花 5月 花弁6枚 紫と黄色の紋様」など入力したと思います。その場でニワゼキショウと判明して、すぐに覚えました。
一度名前を覚えてしまうと不思議なもので、あちらでも、こちらでもニワゼキショウが咲いてるのを見かけました。もちろん、急に生えた訳ではありません。今までだって、その美しい花は咲いていたのですが、わたしが気づいていなかったのです。
でも、一度名前を覚えれば、気がつくようになる。
ヒメツルソバのときと同じ体験(詳しくは第1回を参照)をニワゼキショウでもしました。
「名前」とは何か。「知る」とは何か。
ヒメツルソバのときよりも更に深く感じ、考えるようになりました。ニワゼキショウもまた、原点の花の一つとして、個人的に特別です。
ところで、ニワゼキショウの近親で、よく見かけるのがオオニワゼキショウです。この2種がちょっとややこしい。この2種は、花の大きさが違うのですが、花が大きいのがニワゼキショウ、花が小さいのがオオニワゼキショウです。じゃあ、オオニワゼキショウは何が大きいのかというと、草丈がニワゼキショウより大きい(ただし、個体差はあります)。また、花弁のかたちが少し違います。ニワゼキショウとオオニワゼキショウの雑種で青い花もあるそうですが、まだ出会ったことはありません。…残念。
ニワゼキショウをメインにした作品はありませんが、ニワゼキショウが登場する作品はたくさんあります。この時期の絵を描くと、どうしても片隅にでもニワゼキショウを入れたくなります。そして、そのニワゼキショウの存在感は、決して無視できないものになっていると思います。
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