私の作品には、いつも光があります。
夜空に浮かぶ星の光。
窓からこぼれる灯り。
水面に映るきらめき。
花びらをやさしく照らす光。
気づけば、どの作品にも光が存在していました。
「どうして光をたくさん描くのですか?」
そう聞かれることがあります。
でも、実は自分でも意識して描き始めたわけではありません。
描き続けてきた作品を並べてみたとき、どの作品にも自然と光が宿っていることに気づいたのです。
なぜ私は、こんなにも光を描くのでしょう。
それは、光そのものを描きたいからではありません。
光がつくる空気や時間を描きたいからです。
朝の柔らかな光。
夕暮れに街を包むあたたかな光。
夜に静かに瞬く星の光。
同じ景色でも、光が変わるだけで、その場所に流れる時間や感情まで変わって見えます。
私は、その一瞬だけ存在する空気を作品の中へ閉じ込めたいと思っています。
制作をしていると、なかなか最後が決められない時があります。
「もう完成かな」と思っても、あと少しだけ光を足したくなる。
ほんの少し明るくしたり、きらめきを加えたり。
その小さな変化だけで、作品全体の空気がふっと変わる瞬間があります。
まるで、絵の中に静かな風が吹き始めたように感じることがあります。
その瞬間が私は大好きです。
そして、光には不思議な力があります。
暗い場所に小さな灯りがあるだけで、少し安心できたり。
木漏れ日の中を歩いているだけで、気持ちが軽くなったり。
夜空を見上げて星を眺めていると、心が静かになったり。
誰もが一度は、そんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
私は、その感覚を作品の中でも表現したいと思っています。
だから私の描く光は、「答え」を伝えるための光ではありません。
「こう感じてください」と決める光でもありません。
嬉しい日に見れば、より輝いて見えるかもしれない。
少し疲れた日に見れば、そっと寄り添う灯りになるかもしれない。
大切な人を思い出す景色になる人もいれば、ただ静かで心地よい夜だと感じる人もいるでしょう。
作品の意味は、見る人の数だけあっていい。
私はそう思っています。
だからこそ、作品の中には、想像できる余白を残したい。
見る人それぞれが、自分だけの物語を見つけられるように。
私が描いているのは、光そのものではなく、
その光の中で過ごす時間なのかもしれません。
作品の前に立ったとき、ほんの少しだけ時間の流れがゆっくりと感じられる。
忙しい毎日を忘れ、深呼吸をするように作品を眺められる。
そんな静かな時間を届けたいという想いが、自然と光を描かせているのだと思います。
だから私は今日も、光を描き続けます。
誰かの心に答えを与えるためではなく、
その人だけの静かな時間が、作品の中に生まれるように。
一枚の絵が、
ふと立ち止まりたくなる場所になれたら。
私はこれからも、その光を描き続けていきます。