ある日、コンビニへ入ったときのこと。
昼食を選び終えて、
レジに並んだ。
しばらくしても、
列はなかなか進まない。
前にいた女性が、
セルフレジの支払いに戸惑っているようだった。
現金を数えながら、
どうにか操作しようとしている。
レジを見守る店員さんは、
少し不快そうな表情を浮かべていた。
かくいう僕も、
不快とまではいかないけれど、
心地の悪い焦りを感じていた。
その日に忘れてしまいそうな、
なんてことのない日常。
なのに不思議と、
数か月経った今でも、
あの日のことが頭から離れない。
僕たちは本当に、
優しい世界に向かっているのだろうか。
昔に比べれば、
世の中はずっと便利になったはずだ。
なのに僕たちは、
ずっと何かに焦っている。
何かに追われている。
僕たちは、
少しの時間と引き換えに、
何か大切なものを
少しずつ手放している気がする。
それは、
誰かのために足を止められる、
心の余白のことなのかもしれない。
世の中のスピードは、
まるで天井知らずに上がっていく。
そんな中で、
僕はどこまで自分の優しさを守れるだろうか。
世の中がどれだけ速くなっても、
そんな問いを、
心の中に残しておきたい。