飛べない鳥と

▪▫❑⧉◻︎ 商品説明 ◻︎⧉❑▫▪ 小さな刺繍を素敵なアートにしました。 ペンギンのクロスステッチに、氷をイメージしたビーズを口に咥えさせた愛らしい一品。 ▪▫❑⧉◻︎ 内容 ◻︎⧉❑▫▪ ・クロスステッチの小さな立て掛け額縁のアート ・下記記載、噺の続き ▪▫❑⧉◻︎ 噺 ◻︎⧉❑▫▪ 「世界って広いね…こんな鳥も居るなんて」 暇な一日の昼下がり。何となく開いた百科事典を開きながら、独り言のように小さく呟くフォースギア。この声にアズライトは腰を上げた。 「何を見てるんだ？...百科事典か。鳥って...うわ、なんだこれ」 アズライトはフォースギアの持つ百科事典を覗き込んだ。そこには自分が知っている鳥とは似つかない、ポッテリした腹に翼には見えない羽と、まるで燕尾服のような黒い模様の生き物が載っていた。 「...ペンギンっていうそうだ」 「鳥と言うのなら、これは飛ぶのか？...こんな翼で？」 「いや、この子は飛ばない。代わりに...」 そう言いながら文章を指でなぞりながらフォースギアは答える。 「まるで飛んでいるように自由自在に海を泳ぐんだそうだ」 ペンギンと呼ばれるその鳥は、青白い氷だらけの大地にたっている。まるで空の色...氷に囲まれた海を飛ぶように泳ぐ燕尾服の鳥...。幻想的な世界のようにアズライトは感じた。 「魔女と生きていて、かなりヘンテコな世界も見てきたつもりだけど...この世界は魔法より無限なんだな」 アズライトの言葉にフォースギアは嬉しそうに笑った。