雨音と蛙

▪▫❑⧉◻︎ 商品説明 ◻︎⧉❑▫▪ 小さな刺繍を可愛いブローチにしました。 小さな蛙のクロスステッチ。指には赤のビーズをあしらい、水の雫をイメージしたプリズムは、見る方向によって青に光ります。 ▪▫❑⧉◻︎ 内容 ◻︎⧉❑▫▪ ・クロスステッチのくるみボタンブローチ ・下記記載、噺の続き ▪▫❑⧉◻︎ 噺 ◻︎⧉❑▫▪ ケロケロケロ…フォースギアの部屋から生き物の鳴き声が聴こえるのは珍しい。鉱石にしか興味のない魔女だ、蛙を飼う魔女はよく居るが、アズライトは彼女の部屋から聴こえる声に違和感を感じた。 「…はぁ、頼むよぉ〜…」 聞き耳を立てているとため息混じりのフォースギアの声が聴こえてきた。 「ここは君が生きる環境より寒い森なんだよ？その雨のプリズムさえ吐き出してくれれば、しっかり養生してから熱の森へ帰してあげるからさぁ…ねぇ…」 ケロケロ… 「…はぁ…呪いで変わった王子じゃあるまいし…普通の蛙に喋ってても分かるわけないよねぇ…熱帯雨林の中でも毎日雨が降り続ける特殊な土地にしか取れない雨のプリズム…やっとの思いで見つけたのに…」 ケロケロ… 「プリズムに止まった虫ごと蛙に飲み込まれるなんて、魔女の私にだって予知出来ないよ」 ケロケロ…ゲフッ 「うー！憎たらしい！」 部屋から漏れ出す会話にクスクス笑いながら、乾いた風が吹き込む窓をアズライトは静かに閉めた。