ご覧いただきありがとうございます。
二股の猫月夜丸です。よろしければ、月夜丸が妖怪になったいきさつを読んでみてください。
素敵なご縁をお待ちしています。
月夜丸の物語1
昔、月夜丸という侍がいました。生まれつき前髪の一部だけが白く、それが夜の闇に浮かぶ月のようだったからです。月夜丸の家は代々同じ藩に仕え、幼い頃から仲の良かった月夜丸と藩のお姫様は、成長するにつれひそかにお互いを愛するようになりました。
やがてお姫様は、ある大きな藩のお殿様と結婚させられることになりました。月夜丸もお姫様も悲しみましたがどうしようもありませんでした。
ある晩、お姫様は部屋で夜空の細い月を眺めていました。瞼に浮かぶのは月夜丸の顔ばかりです。とうとうお姫様は決心しました。
「くろ、この手紙を必ず月夜丸に届けてちょうだい。お願いよ」
お姫様は可愛がっている真っ黒な猫の首に袋を結び、その中に手紙を入れました。自分を城から連れだしてほしい、愛していますという内容でした。
黒猫は月夜丸にちゃんと手紙を届け、月夜丸はすぐにお姫様のもとに向かいました。人気のない道にさしかかった時です。突然男たちが現れ月夜丸に切りかかりました。結婚相手のお殿様が月夜丸を邪魔に思い、刺客を差し向けたのです。月夜丸は剣の腕が立ちましたが相手は大勢です。とうとう深い傷を負わされてしまいました。薄れゆく意識の中、月夜丸はもう一度姫に会いたいと願いました。お姫様の猫がやってきて月夜丸に寄り添いました。
翌日、お姫様は月夜丸の死と、結婚が取りやめになったことを知らされました。相手のお殿様が重病にかかり結婚どころではなくなったというのです。
月の美しい晩でした。お姫様は月夜丸のことを想って、部屋で一人泣いていました。
「にゃー」
黒猫が部屋に入ってきました。くろが戻ってきたのかと思いましたが、額に三日月のような模様があります。お姫様ははっとしました。
「もしやそなたは……」
猫は優しい目でお姫様を見つめ、口を開きました。
「姫、夫婦として添い遂げることは叶いませぬが、月夜丸はもう姫の傍を離れませぬ。ずっと姫をお守りいたします」
お姫様は猫の月夜丸を抱き上げ、頬ずりしました。月夜丸は目を細めてごろごろと喉を鳴らしました。それからの月夜丸はいつもお姫様に寄り添い、ふたりは幸せに暮らしたということです。(終)
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二股の猫月夜丸です。よろしければ、月夜丸が妖怪になったいきさつを読んでみてください。
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月夜丸の物語1
昔、月夜丸という侍がいました。生まれつき前髪の一部だけが白く、それが夜の闇に浮かぶ月のようだったからです。月夜丸の家は代々同じ藩に仕え、幼い頃から仲の良かった月夜丸と藩のお姫様は、成長するにつれひそかにお互いを愛するようになりました。
やがてお姫様は、ある大きな藩のお殿様と結婚させられることになりました。月夜丸もお姫様も悲しみましたがどうしようもありませんでした。
ある晩、お姫様は部屋で夜空の細い月を眺めていました。瞼に浮かぶのは月夜丸の顔ばかりです。とうとうお姫様は決心しました。
「くろ、この手紙を必ず月夜丸に届けてちょうだい。お願いよ」
お姫様は可愛がっている真っ黒な猫の首に袋を結び、その中に手紙を入れました。自分を城から連れだしてほしい、愛していますという内容でした。
黒猫は月夜丸にちゃんと手紙を届け、月夜丸はすぐにお姫様のもとに向かいました。人気のない道にさしかかった時です。突然男たちが現れ月夜丸に切りかかりました。結婚相手のお殿様が月夜丸を邪魔に思い、刺客を差し向けたのです。月夜丸は剣の腕が立ちましたが相手は大勢です。とうとう深い傷を負わされてしまいました。薄れゆく意識の中、月夜丸はもう一度姫に会いたいと願いました。お姫様の猫がやってきて月夜丸に寄り添いました。
翌日、お姫様は月夜丸の死と、結婚が取りやめになったことを知らされました。相手のお殿様が重病にかかり結婚どころではなくなったというのです。
月の美しい晩でした。お姫様は月夜丸のことを想って、部屋で一人泣いていました。
「にゃー」
黒猫が部屋に入ってきました。くろが戻ってきたのかと思いましたが、額に三日月のような模様があります。お姫様ははっとしました。
「もしやそなたは……」
猫は優しい目でお姫様を見つめ、口を開きました。
「姫、夫婦として添い遂げることは叶いませぬが、月夜丸はもう姫の傍を離れませぬ。ずっと姫をお守りいたします」
お姫様は猫の月夜丸を抱き上げ、頬ずりしました。月夜丸は目を細めてごろごろと喉を鳴らしました。それからの月夜丸はいつもお姫様に寄り添い、ふたりは幸せに暮らしたということです。(終)