◆ 影ターミナルの深夜清掃 ―「線路が眠る音」

◆ 影ターミナルの深夜清掃 ―「線路が眠る音」

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真夜中。 影ターミナルには、昼間よりも“本物の線路の気配”が強く集まる。 誰も使ってないのに、聞こえるのだ。 列車の重たい息。 りゃんシーとくうかいは、手元のランプを頼りに、 ホームの端から清掃を始めた。 落ちているのは紙じゃない。 錆の夢、鉄粉のため息、 それから“乗り遅れた幽気”がぽつぽつ転がっている。 「これ、ほっとくと線路が寝られないんだよな」 くうかいが、不思議そうに訊いた。 「線路って、寝るの?」 「そりゃ寝るよ。だって毎日、 もう走らない列車の記憶を運んでるんだから」 二人が落ちている“幽気”を拾い集めるたびに、 駅全体がふっと静かになる。 最後の一つを拾った瞬間、 ホームの奥から、柔らかい鉄の軋み音がした。 ──ありがとう。 それは線路の寝息だった。

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