時代を旅してきた、一点ものたち
本日はお越しいただきありがとうございます!ANTIQUE LEAVESさんは、minneでもたくさんの素敵なアンティーク・ヴィンテージを販売されていますよね。今日はその魅力をたっぷりうかがえればと思います。さっそくですが、いくつかアイテムをお持ちいただいているんですね。
うささん
はい。ANTIQUE LEAVESの加盟店さんが扱っているアイテムの中から、とくに人気のあるカテゴリーのものをいくつか持ってきました。こちらの花瓶はドイツのミッドセンチュリー期のものです。形や釉薬の色づかいが独特で、お花を生けなくてもオブジェとして楽しめます。
「ドイツ製 ヴィンテージ Scheurich Fat Lava Vase 花瓶」、「デンマーク製 SOHOLM 花瓶 3348 Einar Johansen」、「1952-72年代 ドイツ製 Steiff バンビ シカ Bambi Deer ぬいぐるみ」
本当ですね!右の花瓶はかぼちゃのような形で、色合いも独特ですね。真ん中は深いブルーが美しい...。隣にあるのは...小鹿ですか?すこし憂いを帯びた目がなんとも言えない表情ですね。
フドウ太さん
現代のデザインとはまた違う、すこしリアルだったり、独特のデフォルメがされていたりするところがアンティークのおもしろさですよね。「今の時代にはないな」という感覚が、多くの人を惹きつけるんだと思います。
うささん
こちらの長いお皿はフランスの「ラヴィエ皿」といって、前菜などを盛り付けるためのものです。アクセサリートレイにしたり、小物を飾ったり、皆さん自由に使い方を楽しまれていますね。
なるほど。本来の用途とは違う使い方を考えるのも、アンティークを取り入れる楽しみのひとつなんですね。
京都のアンティークショップから始まった物語
おふたりはANTIQUE LEAVESの運営だけでなく、京都で「ブルーパロット」という実店舗も経営されていますよね。そもそものアンティークとの出会いは何だったのですか?
フドウ太さん
実は、父がアンティークショップをやっていて、僕は2代目なんです。最初はお店のネット販売を手伝うところから始めました。当時は今ほど簡単にネットショップをつくれる時代ではなかったので、「他のショップさんも同じように困っているだろうな」と感じたのが、ANTIQUE LEAVESのアイデアの原点になっています。
うささん
わたしはもともと全然違う仕事をしていましたが、お店を手伝うようになり、仕入れを担当するようになってからアンティークの世界にのめり込みました。最初は何もわかりませんでしたが、知れば知るほど奥が深くて。
仕入れ!なんだか専門的な世界でドキドキします。オークションのような場所へ行かれるんですか?
うささん
まさに。(笑)まわりはベテランの方ばかりの中で、圧倒されてしまったのですが、そこでたくさんのものを見て、触れて、自分の目が養われていく感覚はすごくおもしろかったですね。最初は似たように見えても、値段が全然違うものがあったりして、「どうしてだろう?」と調べていくうちに、どんどん知識が深まっていきました。
アンティークと暮らすということ
奥深いアンティークの世界ですが、おふたりが考えるいちばんの魅力とは何でしょうか?
うささん
どれも一点もので、時間を重ねたからこそ生まれる深みがあるところですね。すこし欠けていたり、誰かが修理した跡があったり……そうした「時間の痕跡」や「人の気配」が、暮らしの中に物語を連れてきてくれるんです。
フドウ太さん
日本の古い道具なんかもおもしろいですよ。昔の氷で冷やす冷蔵庫とか、お医者さんが使っていた棚とか、そういうものを通じて「昔の人はこうやって暮らしてたんだな」と想像が膨らみます。自分のルーツにつながるような感覚が得られるのは、日本の古道具ならではかもしれません。
プロとして日々たくさんのものと出会う中で、とくに印象にのこっている「出会い」はありますか?
うささん
わたしが、ひとりで仕入れに行くようになったばかりの頃に出会った「カンバセーションチェア」は忘れられません。S字のような形で、ふたりがすこし斜めに向かい合って座る椅子なんですけど、「なんだこれは!」と市場で見たときに衝撃を受けて。
フドウ太さん
まさに彼女の“デビュー戦”でしたね。まわりのベテラン勢もいる中で、あんな珍しいものを競り落としたのには驚きました。(笑)度胸がありますよね。
うささん
調べてみたら、昔の洋館やホテルのサロンで、会話を楽しむために置かれていた椅子だとわかったんです。自分が今暮らしている世界とはまったく違う時代の文化に、ものを通じて触れられた気がして、すごく感動したんです。その椅子は、本当に流れ星のように現れて、素敵なお客様の元へあっという間に旅立っていきました。
流れ星…!ものとの出会いも本当に一期一会なんですね。とはいえ、初心者にとっては「何から選べば良いんだろう?」というハードルがあるように感じます。
うささん
最初は、小さな器やカトラリーから試してみるのがおすすめです。ひとつ食卓に加わるだけで、ぐっと雰囲気が変わりますよ。それから、デザインに迷ったら、現代のものとすごく古いものの中間的な時代のもの、例えば1950年代前後の「ミッドセンチュリー」と呼ばれるものから選んでみると、今の暮らしにも馴染みやすいと思います。
なるほど!いきなり背伸びするのではなく、すこしずつ自分の暮らしに合うものを見つけていくのがよさそうですね。
minneでアンティークを探す魅力
アンティークを探してみたくても、なかなか全国のショップを巡るのはむずかしいですよね。最近はminneで探すことも増えてきました。ANTIQUE LEAVESさんが出店されてから、minneで探すのがさらに楽しくなったと感じています。
フドウ太さん
ありがとうございます。僕たちがANTIQUE LEAVESを始めたのも「旅先で見つけた素敵なアンティークショップが、ネットでは全然見つからない」という原体験があったからなんです。minneのように、ものを大切にする文化が根付いている場所で販売できるのは、僕たちにとっても理想的なんです。
うささん
minneのユーザーさんは、作家さんの作品と同じように、アンティークにも「想い」や「美意識」を感じ取ってくださる方が多い印象です。「minneで初めてアンティークを買いました」というレビューをいただくと、本当に嬉しくなりますね。
ネットで一点ものを買うのってすこし勇気がいりますが、minneはレビュー文化がしっかりしているので、購入を検討している方にはとても参考になりますよね。
フドウ太さん
おっしゃる通りです。レビューで実際に使っている写真や感想を見ることで、「こういう風に使えるんだ」と新しい発見もありますし、安心して購入できると思います。疑問があればメッセージで気軽に質問できるのも、minneの良いところですよね。
全国のショップと使い手をつなぐ架け橋に
ANTIQUE LEAVESさんは、全国のショップオーナーさんにとって、まさに駆け込み寺のような存在ですね。
フドウ太さん
そうだと嬉しいです。僕たちが「ブルーパロット」を経営する中で、多くのショップさんが「実店舗の運営で手一杯で、ネット販売まで手が回らない」という課題を抱えていることを知っていました。そこで、紹介ページの作成、お客様対応などを僕たちが代行して、ショップさんには発送に集中してもらう、という仕組みをつくったんです。
ショップの方は、具体的にどんなことに悩まれていることが多いのでしょうか?
フドウ太さん
皆さん、自力で頑張っているのですが、集客に苦戦していたり、どの販売サイトを使えばいいかわからない「プラットフォーム難民」になっていたりします。お店をやりながら、仕入れ、修繕、そしてネット販売のすべてを全力でやるのは本当にたいへんなんです。ネットが大事だとわかりつつも、後回しになってしまう。
専門的な知識も必要ですし、お客様とのやり取りもたいへんそうです。
うささん
そこがまさに、わたしがいちばん力を入れている部分です。加盟店さんとお客様の間のコミュニケーションは、すべてわたしが担当しています。ショップさんそれぞれの個性や想いを汲み取りながら、お客様からのご質問に丁寧にお答えすることで、安心して購入していただけるように心がけています。
フドウ太さん
彼女の対応は、ただの伝言役じゃないんです。ショップさんのおすすめポイントに加えて、僕たちの知識や「こんな使い方もできますよ」という提案をプラスして、より魅力が伝わるようにコミュニケーションを“濾過”して届けてくれる。だから、お客様からの信頼も厚いですし、加盟店さんからも「安心して任せられる」といっていただけます。
うささん
お客様からいただいた温かいレビューを加盟店さんにお伝えすると、すごく喜んでくださいます。そのつながりを感じられるのが、何よりのやりがいです。
フドウ太さん
僕たちの目標は、単に商品を売るお手伝いをするだけではありません。アンティークという業界全体を活性化させて、価値あるものを次の世代にのこしていきたいんです。加盟店が増え、一点ものの魅力がもっと多くの人に届けば、業界全体が潤い、素晴らしいものが循環していく。そうすれば、アンティークが一部の人のための高級なものではなく、もっと身近でラフに楽しめるカルチャーになっていくと信じています。
ショップにとっても、業界全体にとっても、そしてわたしたち買い手にとっても素晴らしい取り組みですね。この記事が、あと一歩が踏み出せないショップオーナーさんの背中を押すきっかけになったら嬉しいです。
“使いこなす”ことで、暮らしはもっと豊かになる
これから挑戦してみたいことや、広めていきたい価値観はありますか?
フドウ太さん
今後は、蚤の市のようなリアルイベントも企画していきたいですね。オンラインだけでなく、実際にものに触れてもらう機会を増やすことで、アンティークの魅力をより多くの人に伝えていきたいです。
うささん
わたしたちは「古いもの=使いにくい」ではなく「使いこなすことで暮らしが豊かになる」という価値観を広めていきたいと思っています。すこし手間をかけてお手入れをしたり、使い方を工夫したり、その丁寧なプロセス自体を楽しめる人が増えたら嬉しいです。
minneの作家さんの作品も、50年後、100年後にはヴィンテージとして誰かの手に渡っているかもしれないと思うと、すごくワクワクします。ものを大切にする文化を、ANTIQUE LEAVESさんと一緒に広げていけたら嬉しいです。本日は素敵なお話をありがとうございました!
おふたり
ありがとうございました!
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撮影・取材 / 真田英幸
企画 / 角田亜也子