【竹尾連載】紙のはなし第12回:半透明になる不思議な紙「パチカ」

300銘柄9,000種類もの紙を扱う、紙の専門商社・株式会社竹尾さんに、毎月素敵な紙をご紹介いただく連載。最終回となる第12回目は、熱を加えて型押しすると半透明に変化する、不思議な紙「パチカ」についてお話をうかがいました。

語り手は、株式会社竹尾・企画部の相田さんです。

ナチュラルなクラフトペーパー、パールのような光沢の紙、たのしいエンボスペーパー、革のような紙など、これまで1年間にわたってさまざまな紙をご紹介してきました。
最終回となる今回は、一見シンプルでいて、実はとてもユニークな紙をご紹介します。

雪のような白さと柔らかさを持つ「パチカ」

今回ご紹介するのは、この真っ白な紙「パチカ」です。
見た目にはわかりにくいかもしれませんが、起毛したような繊細な表面は何ともいえない柔らかな手触りで、まるで降り積もった雪の表面のようです。紙に触れる喜びをあらためて感じさせてくれます。

美しい白。ずっと触れていたくなる手触りです。

それだけでもとても魅力的な紙なのですが、「パチカ」には、ちょっと驚く特性があるのです。

紙の一部が半透明に変化

空押し(エンボス・デボス加工)や箔押しという技法をご存知でしょうか。金属の版を使って、紙に凹凸をつけたり、紙の上に箔を押し付けて圧着することで、部分的に装飾をほどこす加工です。
このときに用いる金属の版を、適度に加熱して「パチカ」にプレスすると、押し当てた部分がなんと半透明に変質する、「パチカ」はそんな不思議な紙なのです。

厚みは3種類。上から、四六判Y目130kg・200kg・350kgです。薄いものほど加熱型押し部分の透明度が高くなります。雪のような白さと、半透明化した部分との質感の違いが豊かな表情を生みます。

色を重ねてたのしんで

シンプルに半透明の絵柄をたのしむのもいいですが、「パチカ」のもうひとつのたのしみ方は、色紙と重ねること。半透明化した部分からうっすらと色がのぞきます。

また、「パチカ」はとても柔らかな表面なので、オフセット印刷(印刷会社で大量印刷をする際の現在主流の方式)の多色印刷は実はあまり得意ではありません。1色程度で刷るのがいいでしょう。
文字や柄は加熱型押しでほどこして、裏面のみに色を1色刷るのもおすすめです。表面から見たときに色が淡く浮かびあがります。

裏に黄色のインキを刷ると(写真右)、表から見たときに透けた部分がほのかに黄色く色付きます(写真左)。この例では、強度アップのために裏面にPP加工と呼ばれる、透明フィルムによる圧着加工もほどこしています。

名刺やカード、シールにも

こんな不思議な紙「パチカ」は、名刺やカードなど人に手渡すシーンの紙ものや、瓶のラベル、本の扉などに使われています。招待状や賞状に使われたことも。シールなどに使っても良さそうです。他にはない印象的なものをつくりたい!というときに、「パチカ」の加熱型押し加工のできる加工所へオーダーしてみてはいかがでしょうか。

さいごに

全12回にわたって、個性豊かな紙をご紹介してきました。
色や質感、手触り、厚みなど、さまざまな特徴を持ち、品質のすぐれたこれらの紙を、ファインペーパーと呼んでいます。ここでご紹介できたのはそのごく一部です。まだまだ魅力的な紙がありますので、機会があれば実物に触れてみていただければうれしいです。

また、「こんな色の紙はありますか?」「こんな用途で使いたいのですが」などのご質問は「竹尾 見本帖本店」をはじめとした店舗でいつでも承っております。お気軽にご相談くださいね。

『竹尾連載 紙のはなし』をお読みいただき、ありがとうございました。

竹尾ウェブサイトで「パチカ」を見る
 
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編集 / 西巻香織 撮影 / 真田英幸