【葛籠草紙】烽華連天

「その簪、知ってるぞ」「知ってるぞ」 とある満月の夜、妖の集う山奥の社で声を掛けてきたのは双子の妖狐。 「そう。これはね、ある人に作ってもらった簪よ。どうして知っているの？」 「それを作った人間は大罪人。あの方の誘いを断った」「人の身で。とんだ身の程知らずよ」 「どういうこと？」 「あの方は奴の細工物をご所望だった」「あの方のものになれば、永遠の命を保証されたのに」 「でも断った」「そうだ、断った」 「だからあの方は言った」「お前の心を縛るものを消してやると」 「すると奴はあの方に刃を向けた」「なんたる身の程知らず」 「待って。その人は、どうなったの…？」 「知れたこと」「知れたこと」 「あの方に喰われたさ」「骨も残さずきれいにな」 全ての音が掻き消え、目の前が朱に染まる。 消えてしまった愛しい人。いつか再び逢えると信じていた。祈っていた。 自分より先に逝くことはわかっていたけれど、でもそれは、もっとずっと先の話。見えなくても、気付かれなくても、ひっそりと添えれば良いと思っていたのに。 秘めた淡い想いは、今、燃え盛る紅蓮の炎へと姿を変える。 煉獄を彩る復讐の業火へと。 〇*********************************● 月のモチーフ、狐面、日本刀と、小振りの鈴を合わせた簪です。 華やかな金色を基調とした全体に、淡い恋心のような薄桃の輝きと、苛烈な緋色とが同居する妖艶な一品。軽やかな鈴の音と、対照的に、重厚感のある金古美の狐面と日本刀が触れ合う音が、不可思議な音色を奏でます。 ＊＊本作は、”atora332”様（https://twitter.com/atora332）のオリジナルキャラクターである「葛籠」さんの簪を再現した作品となります。 作品デザインならびに紹介文の冒頭部は、atora332様より許諾を得て制作、創作、掲載しております。＊＊ 〈サイズ等〉 飾り部分：全長約14㎝　※カニカン含む 簪(木軸) ：長＝15㎝ 　　　　　短＝13㎝ 予定価格：2200円 ＊2/26のARTiSM MARKET終了後の販売を予定しております。ご興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。