椿と雪柳。枝ぶりの勢いに励まされるクリスマスカラーの和着

鮮やかで濃い橙色というより、もっと深い柿色でしょうか。 少し硬めのシボを織り出した縮緬生地。 その上に描かれた一面の椿と雪柳の、なんと伸びやかな枝ぶりであること。 濃淡の描き分けを楽しみながら、簡素な色遣いで冬の花を描く。 絵師の精進を見るようで、羽織った瞬間から元気の出るお部屋着！だと思います。 とは申せ、友禅染めには染料と顔料があるのですが、顔料が多く使われていると、それはまあ、縫うのが大変。 硬めのシボであるうえ、ほぼ顔料で染められているこの元気印のお生地、ほんとうにお針子泣かせなのです。 硬くて硬くて泣きそうになりながら針を進める。 でも、絵師、そして染色に携わる方々は針仕事の按配など、お考えになったこともない、と思います。 もちろん全く構わないことなのですが、お針子たちは、素晴らしい生地に触れるたび、ああ、この生地縫いにくい、あら縫いやすい、と嘆息あり、安堵ありで手仕事に励んでいるのです。 手縫いのみで仕立てる着物と違って「おうちで和着」はミシンも多用しております。ミシンさんありがとう、と声掛けの回数の多い生地も多々ございます。 いえいえどうぞ、仕立て屋のつもりなど一切構わず、ぱりっとした着心地を存分にお愉しみいただきますように。 お洗濯はお水で。少し色落ちが多めの生地です。おしゃれ着洗剤を使い、短時間で洗っていだだければ、鮮やかさも長持ちいたします。お洗濯後は速やかに陰干しにして、アイロン掛けは高温で構いません。衣桁（いこう）という着物専用のハンガーをお使いになると、干すときや収納に便利です。呉服屋さんなどでお求めいただければ幸いです。