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大谷良太詩集『方向性詩篇』(編集室水平線)

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大谷良太の単行本としては5冊目にあたる新詩集。2017年から2022年までの作品25篇を収める。 ――――――――――—— 中尾太一(なかお・たいち) 「「ひと汗」という作品がいいと思った。坂道の上にある精神科の入院病棟、または朝鮮初級学校といった、日本という閉鎖的な社会から見て他人であり続けている場所についての思考や思い出を、虚構を交えて語っている。そこでは「差別」を問題にする以前の、どこか割り切れない、ぼんやりとした大きなイデアが大谷の前に現れて、大谷にとってなにか重大な問題になっているようである。こうだ、というのではない、明示しえない複雑な問題。これを大急ぎで断定するのは詩の仕事ではない。「僕はやはり僕なりの仕方で、「坂の上」を自分に繫げてみたいんだろう。」と大谷は書いている。こういう内面の急くことのない丁寧さ、根気強さが大谷良太の詩の仕事として、非常に好ましいように感じられる。」 ――――――――――—— 駒ヶ嶺朋乎(こまがね・ともお) 「詩集には「地雷原」「永訣」「抗争」「ゲリラ部隊」、挙げればキリがないほど、不穏な単語が満ちあふれている。革命や闘争への志向は、大谷氏が生まれる頃にはもう下火だったと思うが、そんな荒廃を郷愁のような感慨で追慕する。「黙秘した夏、/テトラポッドに登った。」(「海峡」)薬缶で湯を沸かし、メビウスやラークを燻らせながら、海峡を眺めて黙り込む男がいる。言葉は、最も遠くのターゲットを的確に撃ち抜くことのできる恐ろしい武器だ。「対話」においてターゲットとして設定され続ける他者という境界を消し去り、言葉が本質的に内包する暴力性を無力化するには、恋文という形式は有効かもしれない。フラッシュバックのように瞬間的に侵入する不穏な追憶の先に、走り出す子供たちの風景が重なる詩集である。」
大谷良太の単行本としては5冊目にあたる新詩集。2017年から2022年までの作品25篇を収める。 ――――――――――—— 中尾太一(なかお・たいち) 「「ひと汗」という作品がいいと思った。坂道の上にある精神科の入院病棟、または朝鮮初級学校といった、日本という閉鎖的な社会から見て他人であり続けている場所についての思考や思い出を、虚構を交えて語っている。そこでは「差別」を問題にする以前の、どこか割り切れない、ぼんやりとした大きなイデアが大谷の前に現れて、大谷にとってなにか重大な問題になっているようである。こうだ、というのではない、明示しえない複雑な問題。これを大急ぎで断定するのは詩の仕事ではない。「僕はやはり僕なりの仕方で、「坂の上」を自分に繫げてみたいんだろう。」と大谷は書いている。こういう内面の急くことのない丁寧さ、根気強さが大谷良太の詩の仕事として、非常に好ましいように感じられる。」 ――――――――――—— 駒ヶ嶺朋乎(こまがね・ともお) 「詩集には「地雷原」「永訣」「抗争」「ゲリラ部隊」、挙げればキリがないほど、不穏な単語が満ちあふれている。革命や闘争への志向は、大谷氏が生まれる頃にはもう下火だったと思うが、そんな荒廃を郷愁のような感慨で追慕する。「黙秘した夏、/テトラポッドに登った。」(「海峡」)薬缶で湯を沸かし、メビウスやラークを燻らせながら、海峡を眺めて黙り込む男がいる。言葉は、最も遠くのターゲットを的確に撃ち抜くことのできる恐ろしい武器だ。「対話」においてターゲットとして設定され続ける他者という境界を消し去り、言葉が本質的に内包する暴力性を無力化するには、恋文という形式は有効かもしれない。フラッシュバックのように瞬間的に侵入する不穏な追憶の先に、走り出す子供たちの風景が重なる詩集である。」

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四六判上製(ハードカバー)/110ページ

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    かんみんじゅ絵本『にんげんへのみち』

    作家・ブランドのレビュー 星5
    【ネタバレあり。先に作品をお読み下さい】 絵柄はカラフルで可愛いけれども、考えさせられる内容の絵本でした。 これは多分入管問題や外国人差別問題を描いているのかなと思いました。 にんげんとそれ以外の世界は壁で分断されていて、壁を通り抜けるには「ピザ(ビザ=入国許可証)」が必要だと書いてありますから。 ジョセフ氏やコヤン氏や貧乏神たちは「外国人」で、にんげんが「大和民族の日本国籍者」であると解釈しました。 要するに、日本において、「大和民族の日本国籍者」でない人は人間扱いされないということです。 物語の最後に目を覚ます青年とジョセフ氏は同じだと思います。 ジョセフ氏はピザ(ビザ)を持っていたので、にんげん(大和民族の日本国籍者)の世界でにんげんとして大切にされます。 また、同じく物語の最後に登場する猫とコヤン氏は同じだと思います。コヤン氏はピザ(ビザ)を持っていなかったから、にんげんになれなかったのでしょう。 この日本という国でにんげん扱いされるためには、様々な難しい条件や試練をクリアしないといけないのですね。 私が経験することのない多大な苦労を、作者の方は背負わされているのだと思います。 大和民族でなくても、日本に長らく住んでいて、日本語をある程度喋れるなら、日本国籍も日本の参政権ももらっていいと思います。 まあ日本にどのくらい住んでいて、日本語能力がどのくらいあれば、日本国籍者として認められるのかについては、議論の余地がありますが。 それにしても、日本政府はいつまでくだらない分断を続けるのでしょうか。入管収容所の囚われ人のことも今すぐ解放すべきです。 今の日本社会のことを深く考えさせられる絵本でした。ありがとうございます。
    2023年10月20日
    by ayumikunst
    作家・ブランドのレビュー 星5
    2023年10月20日 by ayumikunst

    【ネタバレあり。先に作品をお読み下さい】 絵柄はカラフルで可愛いけれども、考えさせられる内容の絵本でした。 これは多分入管問題や外国人差別問題を描いているのかなと思いました。 にんげんとそれ以外の世界は壁で分断されていて、壁を通り抜けるには「ピザ(ビザ=入国許可証)」が必要だと書いてありますから。 ジョセフ氏やコヤン氏や貧乏神たちは「外国人」で、にんげんが「大和民族の日本国籍者」であると解釈しました。 要するに、日本において、「大和民族の日本国籍者」でない人は人間扱いされないということです。 物語の最後に目を覚ます青年とジョセフ氏は同じだと思います。 ジョセフ氏はピザ(ビザ)を持っていたので、にんげん(大和民族の日本国籍者)の世界でにんげんとして大切にされます。 また、同じく物語の最後に登場する猫とコヤン氏は同じだと思います。コヤン氏はピザ(ビザ)を持っていなかったから、にんげんになれなかったのでしょう。 この日本という国でにんげん扱いされるためには、様々な難しい条件や試練をクリアしないといけないのですね。 私が経験することのない多大な苦労を、作者の方は背負わされているのだと思います。 大和民族でなくても、日本に長らく住んでいて、日本語をある程度喋れるなら、日本国籍も日本の参政権ももらっていいと思います。 まあ日本にどのくらい住んでいて、日本語能力がどのくらいあれば、日本国籍者として認められるのかについては、議論の余地がありますが。 それにしても、日本政府はいつまでくだらない分断を続けるのでしょうか。入管収容所の囚われ人のことも今すぐ解放すべきです。 今の日本社会のことを深く考えさせられる絵本でした。ありがとうございます。

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