【児童図書室 番外編】人魚姫（第4回）

ようこそ児童図書室へ。 さあ、さあ、どうぞお部屋の中へお入りください。 秘密の朗読会のお時間です。 今日のお話は『人魚姫』。 でも、今日は一味違いますよ。 なにせ、本日のお客様は大人の皆様。海のように深く、深く読んで参りましょう。 第4回の今回は「涙石」 海の魔女との契約が果たせなかった人魚姫は、海の泡となって消えてしまったそうです。 姫が最期に流した涙は美しい宝石となって、深い海の底で眠っているのだと言われています。 さて、人魚の王女様が泡と消えてしまった後、海の魔女はどうなったのでしょうか？ 自分を選ばなかった王子様を恨むことも、陥れた魔女を恨むこともせず、自ら消えることを選んだ王女様を見て、魔女は気付いたのです。 罰を与えられたあの日から、美しさを失ったのは、見た目ではなく心だったということに。 魔女は、海中深くに沈んでいた王女様の涙石を必死で探しました。 そして、自分の全てと引き換えに、王女様を生き返らせてほしいと菊石に願い出ました。 菊石は、涙石と魔女の命を代償に、王女様を喚び戻しました。 しかし、そのままの姿で戻すことができないので、菊石は戻ってきた王女様に尋ねました。 どの姿に生まれ変わりたいかと。 王女様は言いました。 では、私を蘇らせてくれた魔女と同じ姿にしてください、と。 身体を失い、消えていく魔女にもこの言葉が届きました。魔女は哭いて、哭いて、哭きじゃくりました。 すると、次々と涙石が生まれました。 魔女の姿に生まれ変わった王女様は、生まれた美しい涙石の数々を、一つを残して世界中の海に送りました。 醜さから解き放たれた美しい人魚の魔法が、世界中の海を護ってくれるように。 そして残された一つに、大切に、大切に願いをかけ続けたのです。いつか、また生まれ変われるように。 生まれ変わった海の魔女は、海の底で菊石と共に待っています。困った海の仲間たちに救いの手を差し伸べるために。 。〇**********＊＊＊＊＊＊＊＊＊**********＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊**********〇。 歯車と涙石のストールクリップです。 中央で別れるタイプのストールクリップは、マント留めにもお勧めです。 人魚の涙を固めたような涙石には、航海の無事を約束する魔法が宿っているんだそうですよ。 海南避けの御守りにいかがですか？