6月から7月にかけての長雨。
梅雨の時期になると、木々や紫陽花はいつもより深く、鮮やかな色に見えます。
しっとりと濡れた雨のベール越しに景色を見ると、なんだか心が静かになるのです。
私は「青梅雨(あおつゆ)」という言葉が好きです。
青々と茂る木々の中に降る雨を表した言葉です。
日本らしい繊細な美しさを感じる、とても素敵な言葉だと思っています。
この言葉を知ったのは、商品をご注文いただいたお客様へのお礼のメッセージを考えていたときでした。
「どうかこの季節をお花とともに楽しんでいただけますように」
そんな気持ちで言葉を探している中で出会ったのが、「青梅雨」という言葉でした。
実は私は昔から、「切ない」「儚い」「刹那」という言葉にも惹かれてきました。
その言葉たちは、どこか美しく、静かな余韻を残します。
なぜ惹かれるのだろうと考えたことがあります。
そして気づいたのは、その言葉たちが、誰の心の中にもあるけれど、その人にしかわからない大切な気持ちを表しているからなのかもしれない、ということでした。
そんなものを、私は心の中の誰も触れることのないガラスの小さな箱にしまっているような感覚があります。
「切ない」「儚い」「刹那」という言葉は、その箱の中にある感情をそっと照らしてくれるような気がするのです。
お花を制作しているときも、私はそんな感覚を大切にしています。
お花が持つ本来の華やかさや明るさに加えて、その中に少しだけ、「切なさ」を込められたらいいなと思っています。
お花を眺めたとき、なぜだかわからないけれど少し心が動く。
そんな小さな余韻を残せるようなお花をお届けできたら嬉しいです。
夏の始まりを告げる青梅雨のように、静かで美しい時間をお届けできますように。