新作おしえてvol.32「徒然candleさんの新作、薄明の星空キャンドル」

この連載では、作家さんにSNSで「新作」を募集。編集部の目にとまった素敵な作品を、制作の背景と交えてご紹介していきます。第32回目にご紹介するのは、徒然candleさんの新作、「薄明の星空キャンドル」です。

作り手は、徒然candleさん

徒然candle
日常を小さく灯せるような作品づくりを心がけて「特別じゃない日も灯したくなる、灯すと少しだけ特別な日になる」キャンドルを制作。
https://minne.com/@tsuredzure

徒然candleが生まれるまで


作家活動をスタートさせたきっかけについてうかがうと「幼いころから身近な人たちの手仕事を見てきたのが現在の自分に繋がっているのではないかと思います」と話す徒然candleさん。聞くと、幼いころ、お父さまが空調会社を立ち上げたことで、物心ついたころから“職人”としてのお父さまの姿を間近で見ていたこと、そして、お母さまが趣味の裁縫に励む姿を見ていたことが、今の自分に影響しているのではないかと言います。
徒然candle
そんな両親を見ていたからか、何かをつくることに対して、とても意欲的な子どもでした。また、アートフラワーをやっていた祖母からも影響を受け、フラワーアレンジメントを専門的に学べる高校へ進学しました。その後、結婚・出産とで花の仕事からは離れてしまいますが、その経験を踏まえて働くことになったデンマークの雑貨屋さんで、販促用のサンプルとしてキャンドルをつくることになったんです。
徒然candle
お店の製菓用のシリコンモールドを工夫して売りたい!と思い、売り場にあったピラーキャンドルを削って溶かして流し込むと、その形のキャンドルをつくることができ、これならセット販売ができるのでは?と考えました。ちょうど昨年は自粛生活が長く続いていましたので、会社の許可をとり、“おうち時間にお子さまとキャンドルづくりはいかがですか?”というようなサンプルとPOPをつくってみたところ、わたし自身がそのままキャンドルづくりにハマってしまって。本格的に資材を集めていちからつくってみることにしたんです。
透明感が美しい「【雪水】- ジェルキャンドル -」。
徒然candle
もしかしたらそのPOPとサンプルを見たお客さまの中にも、こうして本格的にキャンドルづくりを始められた方がいらっしゃるかもしれません。(“いたらいいな”といった願望ですが(笑))“徒然candle”は、こんな退屈な日常で心が動いたのがキャンドルだった…という経験から名付けました。

小さなお子さまがいても楽しんでほしい

氷のような透明感が魅力的な徒然candleさんの作品。制作するうえでのこだわりをうかがってみました。
童話『おおきな木』をイメージして制作された作品「【少年と木】- キャンドル -」。
徒然candle
独学なのでキャンドルに関する技術はまだまだ勉強中なのですが、今までの経験を作品づくりに生かせたらなと思いながら日々制作しています。
徒然candle
大切にしていることは、日本ならではの四季折々の風景を切り取って形にすること。そして、自分もそうなのですがお子さまのいらっしゃるお客さまなどにもお楽しみいただけるよう、なるべく倒れにくく小ぶりな作品にすることです。
徒然candle
実は昨年、子育ての延長から保育士の資格を取得しました。童話に触れる機会も多く、植物が出てくるお話や神話などのエピソードが好きなので、子どもに読み聞かせられるような作品をつくれたらなと。『人魚姫』や『おやゆび姫』など、誰でも知っているようなお話ばかりですが、作品づくりをする上で改めて調べて発見するエピソードも多く、非常に勉強になっています。
童話『おやゆび姫』から生まれた「【おやゆび姫】-ソイキャンドル-」は、親指ほどの高さの小さなサイズ感が特徴。
徒然candle
“人魚”という名前を付けたキャンドルは、泡になって消えた人魚姫のその後のお話が題材になっています。泡になって消えてしまったと思っていた人魚姫がその後その泡から空気の精霊となり、人や物の全てに幸せな風を運んでいるというエピソードを知ったときには、身近にあるもの全てに人魚姫の風が吹いているかもしれない!と、息子とワクワクしながら話しました。わたしの作品がきっかけで、お子さまとのコミュニケーションが生まれていたらうれしいです。
こちらが童話『人魚姫』から生まれたキャンドル「【人魚】-ジェルキャンドル-」。

新作は、薄明の星空キャンドル

徒然candle
今回の新作は“薄明の星空”と、名付けました。ちょうど昨年の七夕の日に徒然candleとしての活動を始めて1年が経ちます。日が沈んだ後と日が上る前の、澄んだグラデーションの空を薄明の空というのですが、キャンドルを始めたばかりの頃に見た薄明の空がとても美しく儚くて。空を眺めては長い自粛生活の中で救われた気分になっていました。
徒然candle
そんな思い入れのある空の景色と 徒然candle を立ち上げた日の七夕にちなみ、フィンランドの天の川のお話をキャンドルに落とし込みました。
フィンランドの天の川のお話は、星になって離ればなれになった夫婦が互いに会いたい一心で星屑をすくっては集め、光の橋をつくっていきます。1,000年が経ち、ようやく完成した橋を2人は互いに渡り、シリウスの星のところで再会できたという、よく知られる七夕伝説とはまた少し違ったロマンチックなお話です。
この星屑をすくって集めつくった光の橋が天の川。キャンドルを灯したとき、その灯りで数多の星が浮かぶよう、細かい気泡を沢山閉じ込めています。
徒然candle
「灯すのがもったいない」と言っていただくことも多いのですが、灯してこそ作品が完成するようなキャンドルをお届けしたいと、毎回試作をするたびに試行錯誤しています。
徒然candle
今回はたくさんの気泡を閉じ込めました。灯したときの明かりで数多の星のような輝きを見せることができたら、そして溶けて流れた蝋が混ざりあって、さまざまな時間の空の表情になったら、と想いを込めました。
薄明の時間の澄んだグラデーションの空から深い夜に変わる姿、夜空に流れるミルクのような天の川、そして再び明るくなっていく空までを楽しんでいただけたらと思います。
徒然candle
離ればなれだった2人が再び出会うように、いっしょに灯すキャンドルの粒によっていろんな空の景色を見せてくれる作品です。わずかに乗せたグリッターの粒が、溶けた蝋とともにキラリと器に落ちていく姿はぜひ見逃さずにご覧いただきたい瞬間。ユーカリとユズの精油を使用して、夏でもすっきりと清涼感のある香りに仕上げたところもポイントです。
最後に、記事を読んでくださったみなさんに向けてメッセージをいただきました。

徒然candle
キャンドルを通じて“徒然な毎日を小さく灯せたら”という想いで日々作品を制作しておりますが、やさしい気持ちになったり、なんだか少し切ない気分になったり、皆さまの心を小さくとも動かせていたら、ものづくりをしていてよかったと思える瞬間です。 想いを伝える場を設けてくださったことに感謝しております。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
【薄明の星空】- ジェルキャンドル -
https://minne.com/items/28150576


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文 / 堀田恵里香