兄弟を想い、命がけの脱走を図った チッチ。
★チッチについて★
身長13cmほどのおんなのこ
★素材等★
手足が曲がり自立します。
手のひらにマグネットが仕込んであります。メモスタンドなどにも。
★チッチのちいさなおはなし★
午前2時、外は雨。
ひっかけておいたヒマワリの種によって計画通り、ケージのフタが半開きになったままだ。
寝静まっておそらく誰も起きてこない。雨音が予想外の物音をかき消してくれる。きっと大丈夫。
チクタク時計の針の音だけが響いて、2時15分。チッチはケージを器用に登って半開きのフタを押し上げて外へ出た。
テーブルの足につかまって床におり、不用心に開けっ放しの引き戸、その網戸の隙間から外へ出た。
濡れた地面をペチペチ言わせながら走り、不慣れなアスファルトを蹴ってペットショップへ向かった。
3か月前を思い返していた。急な引っ越しでひどく落ち込んだ主人が、私と出会った時のことだ。
私はまだ小さく、兄弟たちと一緒になってガラスケースの中で身を寄せ合っていた。
目が合った主人はふわふわの髪を揺らして微笑んで、私に白い指を向けた。
私は小さな穴の開いた紙の小箱に入れられ、それから兄弟とは…。この3か月間、主人の明るい笑顔が私に向けられる生活は悪くなかった。
だがもう決めたことだ。
チッチがペットショップに到着する間、ちいちゃいもの捕食部隊C.A.T.と遭遇したものの無傷でここまで来られたのは奇跡だった。
排気口をくぐり、保安灯が付いた懐かしい店内を見回すと、見慣れたガラスケースがあった。
兄弟の姿は…あった。
残念ながら何人かはもうすでにいないようだった。
みな立派に大きくなり、自分の姿を見ると跳ねあがってガラスケースに張り付いた。
家のケージと比べて粗末な網のフタはたやすく動かせ、斜めにガラスケースに差し込んで兄弟を誘った。
兄弟たちはほほ袋に大量に食べ物を詰め込んで、列をなして私に続いた。
桃源郷へ行こう、みんなで。
チッチたちは暗く狭い、だが雨に濡れていない排水溝を延々と辿りようやくたどり着いた。
午前6時半、計画より1時間オーバーしたが全員無傷だ。
ここで幸せに暮らそう、家族そろって。
おはよう、とケージが開けられた。驚いた主人の顔はいつもより嬉しそうだった。
兄弟を想い、命がけの脱走を図った チッチ。
★チッチについて★
身長13cmほどのおんなのこ
★素材等★
手足が曲がり自立します。
手のひらにマグネットが仕込んであります。メモスタンドなどにも。
★チッチのちいさなおはなし★
午前2時、外は雨。
ひっかけておいたヒマワリの種によって計画通り、ケージのフタが半開きになったままだ。
寝静まっておそらく誰も起きてこない。雨音が予想外の物音をかき消してくれる。きっと大丈夫。
チクタク時計の針の音だけが響いて、2時15分。チッチはケージを器用に登って半開きのフタを押し上げて外へ出た。
テーブルの足につかまって床におり、不用心に開けっ放しの引き戸、その網戸の隙間から外へ出た。
濡れた地面をペチペチ言わせながら走り、不慣れなアスファルトを蹴ってペットショップへ向かった。
3か月前を思い返していた。急な引っ越しでひどく落ち込んだ主人が、私と出会った時のことだ。
私はまだ小さく、兄弟たちと一緒になってガラスケースの中で身を寄せ合っていた。
目が合った主人はふわふわの髪を揺らして微笑んで、私に白い指を向けた。
私は小さな穴の開いた紙の小箱に入れられ、それから兄弟とは…。この3か月間、主人の明るい笑顔が私に向けられる生活は悪くなかった。
だがもう決めたことだ。
チッチがペットショップに到着する間、ちいちゃいもの捕食部隊C.A.T.と遭遇したものの無傷でここまで来られたのは奇跡だった。
排気口をくぐり、保安灯が付いた懐かしい店内を見回すと、見慣れたガラスケースがあった。
兄弟の姿は…あった。
残念ながら何人かはもうすでにいないようだった。
みな立派に大きくなり、自分の姿を見ると跳ねあがってガラスケースに張り付いた。
家のケージと比べて粗末な網のフタはたやすく動かせ、斜めにガラスケースに差し込んで兄弟を誘った。
兄弟たちはほほ袋に大量に食べ物を詰め込んで、列をなして私に続いた。
桃源郷へ行こう、みんなで。
チッチたちは暗く狭い、だが雨に濡れていない排水溝を延々と辿りようやくたどり着いた。
午前6時半、計画より1時間オーバーしたが全員無傷だ。
ここで幸せに暮らそう、家族そろって。
おはよう、とケージが開けられた。驚いた主人の顔はいつもより嬉しそうだった。