不眠症を患う多足の貴公子 ファルパス。
★ファルパスについて★
体長16.5cmほどのおとこのこ
★素材等★
手足が曲がり自立します。
足にワイヤーが入っているのである程度くねくね曲げられます。
手のひらにマグネットが仕込んであります。メモスタンドなどにも。
★ファルパスのちいさなおはなし★
美しく澄み渡った海の一角をサンゴ礁が囲みこんだ礁湖、ほとんど手つかずとも言ってよいほどで、
多くの海の生き物にとって居心地の良い城でもあります。
陽の届かないほどの海の底、ファルパスは穴倉を寝床として静かに過ごすのが好きでした。
手の戯れに綺麗な色の貝殻を転がし、気まぐれに揺らぐ光のカーテンに表情を隠してゆったりと過ごすその姿に、
いつしか<多足の貴公子>とあだ名がつきました。
この美しい礁湖がありのままの姿を保っているのも事実ファルパスの力のおかげであり、
このあたりの海域で圧倒的な知能と力を持つ彼は多くの生き物に恐れられてもいました。
厭世的な性格とも相まって彼はひどく冷酷なのです。
最近ファルパスはいわゆる不眠症を患っていました。
ピリピリした空気は海中をピンと張り詰めさせていました。
にぎやかな色であふれていたあたりは、薄暗く色を心なしか無くしていました。
それというのも、この礁湖に眠る希少なサンゴや真珠を狙い、不躾な船がまた海中をかき乱し始めたからです。
ある日、船の碇がファルパスの寝床を直撃し、面倒ごとに関わることを嫌がるファルパスもさすがに苛立ちました。
見る見るうちにあたりを墨で真っ黒に染め上げてしまい、大きく触腕を広げ、
海上を睨み付けると碇を掴んで船を引きずりこみ始めました。
ビン!と張った碇は震え、悪意ある力の前で粗末な船はバラバラに砕け散りました。
広げられた黒く長い足により海中はかき乱されて渦を作り、幾つもの船の残骸や乗組員が沈んできました。
5つ目の碇が沈みこんだのを最後に、海は静けさを取り戻したのです。
海中が澄み切り、散らかった城内を見回したファルパスはため息をつきました。そして溺れてもがく乗組員を一人ずつ、上品に小さくゆっくり齧って食べて楽にしてやりました。
肉の味に飽きてしまっても、ファルパスは食べるのをやめませんでした。
だって、一人で生き残るなんてあまりにも寂しいじゃありませんか。
不眠症を患う多足の貴公子 ファルパス。
★ファルパスについて★
体長16.5cmほどのおとこのこ
★素材等★
手足が曲がり自立します。
足にワイヤーが入っているのである程度くねくね曲げられます。
手のひらにマグネットが仕込んであります。メモスタンドなどにも。
★ファルパスのちいさなおはなし★
美しく澄み渡った海の一角をサンゴ礁が囲みこんだ礁湖、ほとんど手つかずとも言ってよいほどで、
多くの海の生き物にとって居心地の良い城でもあります。
陽の届かないほどの海の底、ファルパスは穴倉を寝床として静かに過ごすのが好きでした。
手の戯れに綺麗な色の貝殻を転がし、気まぐれに揺らぐ光のカーテンに表情を隠してゆったりと過ごすその姿に、
いつしか<多足の貴公子>とあだ名がつきました。
この美しい礁湖がありのままの姿を保っているのも事実ファルパスの力のおかげであり、
このあたりの海域で圧倒的な知能と力を持つ彼は多くの生き物に恐れられてもいました。
厭世的な性格とも相まって彼はひどく冷酷なのです。
最近ファルパスはいわゆる不眠症を患っていました。
ピリピリした空気は海中をピンと張り詰めさせていました。
にぎやかな色であふれていたあたりは、薄暗く色を心なしか無くしていました。
それというのも、この礁湖に眠る希少なサンゴや真珠を狙い、不躾な船がまた海中をかき乱し始めたからです。
ある日、船の碇がファルパスの寝床を直撃し、面倒ごとに関わることを嫌がるファルパスもさすがに苛立ちました。
見る見るうちにあたりを墨で真っ黒に染め上げてしまい、大きく触腕を広げ、
海上を睨み付けると碇を掴んで船を引きずりこみ始めました。
ビン!と張った碇は震え、悪意ある力の前で粗末な船はバラバラに砕け散りました。
広げられた黒く長い足により海中はかき乱されて渦を作り、幾つもの船の残骸や乗組員が沈んできました。
5つ目の碇が沈みこんだのを最後に、海は静けさを取り戻したのです。
海中が澄み切り、散らかった城内を見回したファルパスはため息をつきました。そして溺れてもがく乗組員を一人ずつ、上品に小さくゆっくり齧って食べて楽にしてやりました。
肉の味に飽きてしまっても、ファルパスは食べるのをやめませんでした。
だって、一人で生き残るなんてあまりにも寂しいじゃありませんか。