作品説明
ARABIAのアート部門で制作された、グンヴァル・オリン=グレンクヴィスト(Gunvor Olin-Grönqvist)の壁掛けレリーフ陶板です。長さ53cmの縦長の板に、北欧の夏の草花ヤナギラン(maitohorsma)が一株、根元から花穂の先まで浮き彫りで立ち上がります。
ヤナギランは、フィンランドでは伐採地や焼け跡、道端にいち早く群れて咲く草花で、まっすぐ伸びた茎の先に紅紫の花を穂のようにつけます。本作は、細長い葉を互い違いに広げながら伸びる茎と、先端に向かって小さくなっていく花とつぼみを、縦長の画面いっぱいに写しています。背景には細い草の茎が幾筋も線で引かれ、夏の草むらのなかに一株が立つ情景をつくっています。
色は金茶色の釉薬ひとつです。釉薬は浮き彫りの低いところに溜まって濃い茶に沈み、葉や花びらの高いところでは薄くなって素地の白が透けます。単色でありながら、葉の重なりや花弁の輪郭まで濃淡で読み取れ、光の当たる角度によって陰影の出方が変わります。
グンヴァルの壁掛けレリーフのなかでも最大級の大きさです。幅に対して高さが3倍を超える細長いプロポーションで、壁に掛けると、草花が下から上へ伸びる縦の線がそのまま空間に引かれます。釉薬の濃淡は離れた場所からもはっきりと見え、廊下や階段の壁、背の高い家具の脇など縦に長い余白に掛ければ、それ一枚で人の目を引きつける存在感があります。
表面の右下にはグンヴァルの署名が入り、裏面にはARABIAの王冠マーク、アトリエ(ateljé)の印、1976の年記があります。1976年は、グンヴァルが量産食器の装飾デザイナーからアート部門へ移り、一品制作の陶芸家へ転じた年です。四半世紀にわたってコスモス(Kosmos)などの量産品の装飾を手がけてきた作り手が、身近な野の草花を自らの主題として見つめ直した、その最初の年の大作といえます。
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯
1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。
黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。
このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド
・1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
・1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入されたトンネル窯を表現したデザイン。
・1949〜2014年:クラウンマーク(王冠)。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
・生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
・2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。
■詳細スペック
・メーカー:ARABIA / アラビア
・デザイナー:Gunvor Olin-Grönqvist / グンヴァル・オリン=グレンクヴィスト
・年代:1976年
・製造国:フィンランド
・サイズ:幅20.5cm 長さ53cm 厚み1.3cm
コンディション:割れ、欠け、貫入、釉薬の剥がれはなく、制作時のコンディションをそのまま留めた完品です。
ARABIAのアート部門で制作された、グンヴァル・オリン=グレンクヴィスト(Gunvor Olin-Grönqvist)の壁掛けレリーフ陶板です。長さ53cmの縦長の板に、北欧の夏の草花ヤナギラン(maitohorsma)が一株、根元から花穂の先まで浮き彫りで立ち上がります。
ヤナギランは、フィンランドでは伐採地や焼け跡、道端にいち早く群れて咲く草花で、まっすぐ伸びた茎の先に紅紫の花を穂のようにつけます。本作は、細長い葉を互い違いに広げながら伸びる茎と、先端に向かって小さくなっていく花とつぼみを、縦長の画面いっぱいに写しています。背景には細い草の茎が幾筋も線で引かれ、夏の草むらのなかに一株が立つ情景をつくっています。
色は金茶色の釉薬ひとつです。釉薬は浮き彫りの低いところに溜まって濃い茶に沈み、葉や花びらの高いところでは薄くなって素地の白が透けます。単色でありながら、葉の重なりや花弁の輪郭まで濃淡で読み取れ、光の当たる角度によって陰影の出方が変わります。
グンヴァルの壁掛けレリーフのなかでも最大級の大きさです。幅に対して高さが3倍を超える細長いプロポーションで、壁に掛けると、草花が下から上へ伸びる縦の線がそのまま空間に引かれます。釉薬の濃淡は離れた場所からもはっきりと見え、廊下や階段の壁、背の高い家具の脇など縦に長い余白に掛ければ、それ一枚で人の目を引きつける存在感があります。
表面の右下にはグンヴァルの署名が入り、裏面にはARABIAの王冠マーク、アトリエ(ateljé)の印、1976の年記があります。1976年は、グンヴァルが量産食器の装飾デザイナーからアート部門へ移り、一品制作の陶芸家へ転じた年です。四半世紀にわたってコスモス(Kosmos)などの量産品の装飾を手がけてきた作り手が、身近な野の草花を自らの主題として見つめ直した、その最初の年の大作といえます。
ARABIA — フィンランドが世界に誇る陶磁器の名窯
1873年、スウェーデンのロールストランド社がヘルシンキに設立した分工場がARABIAの始まりです。当初はロシア帝国向けの陶磁器を生産していましたが、1917年のフィンランド独立後に完全なフィンランド企業となり、20世紀半ばにはフィンランド最大の陶磁器メーカーへと成長しました。
黄金時代を築いたデザイナーたち
カイ・フランク(1911–1989)は「フィンランドデザインの良心」と呼ばれ、キルタ(後のティーマ)やカルティオなど、無駄を削ぎ落とした機能美の名作を生み出しました。
ウラ・プロコッペ(1921–1968)は、コバルトブルーの手描きが美しいバレンシア(1960–2002年)と、鉄粉を施した独特の土色が魅力のルスカ(1960年代–1999年)を手がけました。ルスカの粗い表面は日本の楽焼に似た風合いで、北欧と日本の美意識の近さを感じさせます。
このほか、ビルガー・カイピアイネン(1915–1988)は「装飾の王」と呼ばれ、名作パラティッシをはじめ華やかな装飾陶芸を制作。エステリ・トムラはフローラシリーズの植物画で知られ、ライヤ・ウオシッキネンも数多くの装飾パターンを手がけました。
ヴィンテージの見分け方 — バックスタンプ(刻印)ガイド
・1874〜1930年頃:素地への型押し(インプレスト)が主流。1878年以降はフィンランドの紋章入りカラーマークも併用。
・1932〜1949年:クルト・エクホルムがデザインした「パイプスタンプ」。工場に導入されたトンネル窯を表現したデザイン。
・1949〜2014年:クラウンマーク(王冠)。1964年、1971年、1975年、1981年、2014年に更新。
・生産年の読み方:1940年代以降は月→年の順で数字が刻印。2等品にはローマ数字IIや色付きドットが付されます。
・2016年以降:ヘルシンキ工場は2016年3月に閉鎖され、現在はタイとルーマニアで生産。ヴィンテージ品はすべてフィンランド製で、「MADE IN FINLAND」の刻印があります。
■詳細スペック
・メーカー:ARABIA / アラビア
・デザイナー:Gunvor Olin-Grönqvist / グンヴァル・オリン=グレンクヴィスト
・年代:1976年
・製造国:フィンランド
・サイズ:幅20.5cm 長さ53cm 厚み1.3cm
コンディション:割れ、欠け、貫入、釉薬の剥がれはなく、制作時のコンディションをそのまま留めた完品です。