作品説明
リサ・ラーソン(Lisa Larson)がグスタフスベリ(Gustavsberg)時代の1964年に手がけた「アフリカ(Afrika)」シリーズのゾウです。
胴体は角を落とした直方体です。ゾウの巨体を、写実ではなく一つの塊に置き換えています。そこへ円盤のような大きな耳を左右に張り出させ、鼻を丸く巻き上げて輪をつくり、四本の短い円筒を脚として下ろす。加えられている要素はそれだけです。それでもこれがゾウ以外の何にも見えないのは、省いてよいものと省いてはいけないものを見分ける目の確かさによります。
胴の側面には、矢羽根のような三角形の線が横に何段も彫り込まれています。彫った溝に濃い色の釉薬が沈み、面は明るい灰緑のまま残ります。この明暗の差が、平らな壁面に深さを与えています。ゾウの皮膚のしわを写したものではありません。反復する幾何学の文様であり、シリーズの名が示すアフリカの造形への目配せだと当店は読み解いています。
褐色の炻器(ストーンウェア)の土で作られ、彩色のうえに部分的に釉薬がかけられています。脚の先や底面には土の地肌がそのまま残り、ざらりとした手ざわりです。底面には成形時の同心円の跡と、焼成中に空気を逃がすための小さな穴が一つあいています。
底には当時の紙ラベルが貼られたまま残っています。紙ラベルは水や摩擦で真っ先に失われる部分ですので、60年前の作品にこれが残っている状態はそう多くありません。
アフリカ・シリーズは1964年に描かれ、1965年から製作が始まりました。ライオン(小・大・ギガント)、トラ、ゾウ、ラバの6種で構成されています。このうちゾウの製作は1965年から1970年までの6年で終わりました。トラが1975年まで、ライオンとラバはその後もアトリエ製作として作り続けられたことを思えば、ゾウはシリーズのなかで最も早く姿を消した一頭ということになります。
省略しきった形のなかに、ゾウという生きものの重さと静けさが残っています。グスタフスベリでの26年のなかばに生まれた、リサ・ラーソンの造形です。
リサ・ラーソン — 北欧の愛すべき陶芸家
師匠スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン。1年の試用期間が26年に。
リサ・ラーソン(1931-2024)。スウェーデン南部スモーランド地方エルムフルトに生まれ、ヨーテボリの工芸学校でテキスタイルから陶芸に転向しました。1954年、学生コンペの審査員を務めたグスタフスベリの巨匠スティグ・リンドベリに才能を見出され、「1年の試用期間」で工場に招かれます。その1年は、やがて26年間の創作活動へと続いていきました。
リンドベリが「レクストゥーガ(遊び小屋)」と呼んだ工房で、リサはリッラ・ズー(小さな動物園)、ABCガールズ、アフリカなど数々の名作を生み出します。ある日、暗褐色のシャモット陶土でしっぽを立てた猫を作ったことが、生涯で約30種もの猫の陶器を生むきっかけとなりました。
日本とリサ・ラーソン
ABCガールズの「ドーラ」に命を吹き込むリサ。1950年代の痩身美の風潮に対し、古代の豊穣の女神に着想を得たふくよかな女性像を創りました。
一つひとつ手描きで絵付けされるリサ・ラーソンの陶器。職人の手仕事が生む微妙な表情の差が、ヴィンテージの魅力です。
1970年、リサは大阪万博を訪れ、益子焼の人間国宝である濱田庄司と出会います。民藝運動に触れたこの体験が、彼女の手仕事への信念をさらに深めました。2010年には日本の絵本のために赤い縞模様の猫「マイキー」を描き、やがてこの猫は日本中で愛されるキャラクターになります。2014-15年の日本巡回展には21万人以上が来場しました。
■詳細スペック
・メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
・デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
・シリーズ名:Afrika / アフリカ
・作品名:Elefant / ゾウ
・デザイン年:1964年
・年代:1965〜1970年(製造期間)
・素材:炻器(ストーンウェア)
・刻印:底面に紙ラベル(グスタフスベリ錨マーク/DESIGN/LISA LARSSON)
・製造国:スウェーデン
・サイズ:横幅約15.5cm/奥行き約17.5cm/高さ約12cm
コンディション:割れ、欠け、ヒビのない完品です。足元に見える釉薬のざらつきは、糸底と呼ばれる陶器型から引き出すときにつく跡となります。ところどころ見られる緑色は窯の内部で焼成時に釉薬の化学変化で付くものとなります。
リサ・ラーソン(Lisa Larson)がグスタフスベリ(Gustavsberg)時代の1964年に手がけた「アフリカ(Afrika)」シリーズのゾウです。
胴体は角を落とした直方体です。ゾウの巨体を、写実ではなく一つの塊に置き換えています。そこへ円盤のような大きな耳を左右に張り出させ、鼻を丸く巻き上げて輪をつくり、四本の短い円筒を脚として下ろす。加えられている要素はそれだけです。それでもこれがゾウ以外の何にも見えないのは、省いてよいものと省いてはいけないものを見分ける目の確かさによります。
胴の側面には、矢羽根のような三角形の線が横に何段も彫り込まれています。彫った溝に濃い色の釉薬が沈み、面は明るい灰緑のまま残ります。この明暗の差が、平らな壁面に深さを与えています。ゾウの皮膚のしわを写したものではありません。反復する幾何学の文様であり、シリーズの名が示すアフリカの造形への目配せだと当店は読み解いています。
褐色の炻器(ストーンウェア)の土で作られ、彩色のうえに部分的に釉薬がかけられています。脚の先や底面には土の地肌がそのまま残り、ざらりとした手ざわりです。底面には成形時の同心円の跡と、焼成中に空気を逃がすための小さな穴が一つあいています。
底には当時の紙ラベルが貼られたまま残っています。紙ラベルは水や摩擦で真っ先に失われる部分ですので、60年前の作品にこれが残っている状態はそう多くありません。
アフリカ・シリーズは1964年に描かれ、1965年から製作が始まりました。ライオン(小・大・ギガント)、トラ、ゾウ、ラバの6種で構成されています。このうちゾウの製作は1965年から1970年までの6年で終わりました。トラが1975年まで、ライオンとラバはその後もアトリエ製作として作り続けられたことを思えば、ゾウはシリーズのなかで最も早く姿を消した一頭ということになります。
省略しきった形のなかに、ゾウという生きものの重さと静けさが残っています。グスタフスベリでの26年のなかばに生まれた、リサ・ラーソンの造形です。
リサ・ラーソン — 北欧の愛すべき陶芸家
師匠スティグ・リンドベリとリサ・ラーソン。1年の試用期間が26年に。
リサ・ラーソン(1931-2024)。スウェーデン南部スモーランド地方エルムフルトに生まれ、ヨーテボリの工芸学校でテキスタイルから陶芸に転向しました。1954年、学生コンペの審査員を務めたグスタフスベリの巨匠スティグ・リンドベリに才能を見出され、「1年の試用期間」で工場に招かれます。その1年は、やがて26年間の創作活動へと続いていきました。
リンドベリが「レクストゥーガ(遊び小屋)」と呼んだ工房で、リサはリッラ・ズー(小さな動物園)、ABCガールズ、アフリカなど数々の名作を生み出します。ある日、暗褐色のシャモット陶土でしっぽを立てた猫を作ったことが、生涯で約30種もの猫の陶器を生むきっかけとなりました。
日本とリサ・ラーソン
ABCガールズの「ドーラ」に命を吹き込むリサ。1950年代の痩身美の風潮に対し、古代の豊穣の女神に着想を得たふくよかな女性像を創りました。
一つひとつ手描きで絵付けされるリサ・ラーソンの陶器。職人の手仕事が生む微妙な表情の差が、ヴィンテージの魅力です。
1970年、リサは大阪万博を訪れ、益子焼の人間国宝である濱田庄司と出会います。民藝運動に触れたこの体験が、彼女の手仕事への信念をさらに深めました。2010年には日本の絵本のために赤い縞模様の猫「マイキー」を描き、やがてこの猫は日本中で愛されるキャラクターになります。2014-15年の日本巡回展には21万人以上が来場しました。
■詳細スペック
・メーカー:Gustavsberg / グスタフスベリ
・デザイナー:Lisa Larson / リサ・ラーソン
・シリーズ名:Afrika / アフリカ
・作品名:Elefant / ゾウ
・デザイン年:1964年
・年代:1965〜1970年(製造期間)
・素材:炻器(ストーンウェア)
・刻印:底面に紙ラベル(グスタフスベリ錨マーク/DESIGN/LISA LARSSON)
・製造国:スウェーデン
・サイズ:横幅約15.5cm/奥行き約17.5cm/高さ約12cm
コンディション:割れ、欠け、ヒビのない完品です。足元に見える釉薬のざらつきは、糸底と呼ばれる陶器型から引き出すときにつく跡となります。ところどころ見られる緑色は窯の内部で焼成時に釉薬の化学変化で付くものとなります。