穴あきセーター

セーターの穴は弾丸の跡。 銃に打たれて死ぬ夢を見た。 全身に痛いほど鳥肌が立って目が覚めた。 生まれ変わって目覚めた私は 新しい今日に浅はかな期待を持ちながら、 いつもと変わらない日常を生きる。 感受性の強い10代の頃は、 死にたくないけど死んでしまいたい、 という気持ちによくかられた。 それは自分本意な悲壮感だったり、 薄っぺらな自尊心を満たすだけのマウントだったり、 自己満足を満たすだけの偽善だったり、 そんな行為を懲りもせずに繰り返す自分に嫌気がさすけど、 感情が理屈に勝つ事はなかった。 今でも、時々あの頃に似た気持ちが モヤで目隠しするようにやってくる。 でも今の私はそんな気持ちにも寛容だ。 穴だらけになって、繕った気持ちを身にまとっても、 またいつもと変わらない日常を何気ない表情で生きることができる。