「日々の小窓」という作品は、愛おしい日常がテーマになっています。

素材は、木粉粘土だったりイラストだったり板ガラスだったり…その時々で変わるのですが、モチーフとして出てくるのは「うつわ」と花のシルエット。

わたしの中で「うつわ」は、食事をする用途の道具というよりかは、形としてのデザインに魅力を感じたり、人の気配が感じられ、生活が垣間見えるモチーフとして惹かれるものでした。

気に入って使っていたものだったり、思い出があって大切にしていたのに、欠けたりヒビが入ってしまったりした時…
どうしても手放せなくて、接着剤で直したまま棚の奥に大切にしまい込んであったりします。

もう食事には使えないけれど、せめて好きな花を生けたり、生活の一部として飾ったりして愛おしむ気持ちから作品のテーマにするようになりました。

そして、愛おしい日常がつまった一場面にふっと登場するのは小さな蝶。
思い出の中でまた会いたい人や、もう会えないけど大切な人と重ねてデザインの一部になっています。

小さいピースに込められたそんな情景を感じていただけたら嬉しいです。

「日々の小窓」作品に込められた情景

母が昔使っていたものを譲ってくれたツバメのブローチ。
思えばこれが原点になっています。

材質は多分セルロイド？みたいな薄いプラスチックと偽物の貝のような雰囲気だけど、このブローチが好きで、壊れても直して大事に使っていました。

そのあとは、作家のイベントでお気に入りを迎えたり、知り合いの作家の作品を集めるように。
陶も金属も木工も…どの材質も面白く、小さい中に込められた技法を眺めるのが至福の時です。

これはほんの一部だけど、どれも宝物。
自分のブローチも誰かの宝物になったらいいなと、日頃のモチベーションになっています。

わたしとブローチ

はじめまして、omochi_handcraftです。
三姉妹を育てながら、日々創作活動をしています。

かつては別の名前で、ガラス作家として活動をしていました。
しかし、結婚、出産、転勤とステージを進むにつれ、創作に対する意欲が湧かなくなって、10年ほど活動を休止していました。

家事育児に奮闘する毎日。子供の成長を実感して、応援していく日々…
いつしか「子供の幸せが自分の幸せ。それを叶えるのが自分の進んでいく人生。」と考えるようになり、創作のことは二の次になりました。

そんな中でも、ストレスを感じるとイラストや工作、手芸などに充足感や達成感を求めて手を動かしている自分がいて、何かを作ったりすることによって日常生活とのバランスを取っていることに気づきました。

家事育児の傍ら、ふと
「これとこれを掛け合わせたらどうかな」
「これをこんな形にしたら…」「色は…」「形は…」
と考え出したら止まらず、頭の中の引き出しだけがたまっていきました。

そんなインプットが近年少しずつアウトプットされてくるようになりました。

以前は若さから、「作家はこうあるべき」という固定概念が強く、自分の作品のいろいろなところに「存在する意味」やコンセプトを求めていました。
それゆえに、やりにくさや表現の幅を狭めてきたように思います。

しかし今では、子供たちが気持ちのままに表現している日常の姿を見て、自分もそんな風に表現をしていきたいと思うようになり、気づくとまたガラスという素材と向き合っていました。

そして子供との生活を通して、好きなものはたくさんあっていいんだと自分を肯定できるようになりました。

今は、まだ作っていない形やモチーフがまだまだたくさんあることが、幸せだと感じている日々です。

今後はもっと身近な、季節や日常に寄り添うような…
そんなささやかなひとかけを作り出していきたいと考えています。

それを一人でも多くに人に見てもらえたら…、そして日常の中の大切な1ピースとして迎えてもらえたらと願っています。


omochi_handcraft

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