++魂の絵巻++

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御無沙汰しております。
 店主の弥光で御座います。
 秋の空。 日暮れも徐々に早くなり空の色変化も 急速に移ろっている季節です。 紫や黄色の夕暮れ、夏より少し燻んだ青空。 静かな夜に、蒼白む朝焼け。 空を見ると天空に浮かぶ神殿を思い出します。
https://minne.com/@nonamikorin/letters/51044 天空神殿の本殿より少し外れた場所に 本棚の果てが見えないほど大きな図書館があり、 廊下にもずらりと本が詰まっています。 天窓になっているため、窓から差す光で 人々は読書に励んだり、調べ物に勤しみます。

 最上階には特別な蔵書があります。 天空の国に関わった全ての人の生涯を記した 絵巻物「御影の書簡」です。 御影、とは霊魂、肖像画などを差す言葉で 雲を伸ばした柔らかい布に包まれて 大切に保管されているのです。 もちろんこちらも膨大な量です。
 天空の国の民、神殿を訪れた旅人や 名のある学者に他の種族までの 沢山の魂の記録…伝記のようなもので まるでその人の声が聞こえてくるように 鮮明に、そして身に染みるように 生涯記や功績を読むことが出来ます。 ひとつひとつが違う色をしており 表紙の模様も微妙に異なるのは 魂の個性が表れているからといいます。 二つ同じものが存在することはありません。 生まれて間もない子供の書簡は 細い棒ほどの太さしかなく 長く生きているほど巻物は分厚くなります。 まだ存命のうちは書簡を開いても白紙で その生涯を終えたときやっと 文字や絵が浮かび上がってくるのです。 天空神殿の図書館はかなりの高層ですか 魂の絵巻物の本棚はその最上階から 白い大理石の梯子を登ったところにあり 天に聳えるこの国の中でも一番の高所で 神官が数人で管理に当たっています。 人は身が滅ぶと魂が天に昇ると言われたり 天国に行く…などと言われているのは こういった場所に「御影の書簡」が 存在しているからなのかもしれません。 
其れでは、又。

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石と硝子を紐で編む店

弥光商店
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