🍒風船とクマの「まんなかのおくりもの」
ある日のこと。
森の奥に住んでいる、くまの「くるりん」は、
なんだか胸がもやもやして、ため息をついていました。
「やさしくしたいのに、言葉がうまく出てこなかったなぁ…」
「なんでかな、心がかくれんぼしてるみたい…」
そのときです。
ふわり…と、風のなかに赤ピンクの色がまざって見えました。
「ん?」と思って見上げると、空から降ってきたのは——
ハートのさくらんぼがついた風船!
風船には、ちいさな紙が結んでありました。
紙には、こう書かれていました。
「まんなかの気持ちは、ことばじゃなくても届くよ♡
あなたのやさしさは、ちゃーんと世界に伝わってる。」
くるりんは目をまるくして、それからゆっくりと笑いました。
「そっか。伝わってたんだ…ぼくの、まんなかハート。」
その夜、くるりんは森のてっぺんの木にのぼって、
風船を空に向かってそっと返しました。
「こんどは、誰かのまんなかに届きますように。」
風船は、キラリと光るハートさくらんぼを揺らしながら、
また新しい旅へと、風に乗って飛んでいきました——。
もしかしたら、この風船は
またいつか、愛ちゃんやちきゅうまるたちのところにも
戻ってくるかもね♡