漆塗りに欠かせない素材の「漆」は、1本の木から約200g程度しか採取できません。
これは牛乳瓶約1本分程度の量です。
そのため、古来から漆の1滴は血の1滴と職人は教えられてきて、僅かな漆も無駄にしないように丁寧に作業を行います。
これは作業風景のごく一部ですが漆塗りがどのような物か、少しでも身近に感じて頂ければ幸いです。

漆の一滴は血の一滴

日本の漆の生産量は減少傾向にあります。
また、自生している漆の木は非常に少ないため、植林による国産漆を守る取り組みも行われています。
漆の木の樹液を漆の原料としますが、成木して樹液採取できるようになるまで約10年以上かかると言われています。
漆の樹液を採取する事を「漆掻き」と呼び、輪島市では漆掻きの職人も数える程度と聞いております。
写真は漆の成木です。木に横に付いた傷が、漆の樹液を採取した際の傷です。
長い月日と多くの人の努力に支えられています。

漆の木

漆塗りは、工程が多い工芸として有名です。
一度塗って終わりでは無く、何度も漆を塗り重ねる事で強度が増し表面も平滑になります。
塗り重ねる漆の喰い付きを良くするために、塗って乾燥した漆を研ぎ出す作業も必要になります。
塗って研ぎ、塗って研ぎを繰り返えす事で他では見られない強度と平滑さが得られます。
塗る作業のみではなく、研ぐ作業にも細心の注意や細かい力加減が求められます。
一見見ても分からない部分に職人の技が隠れています。


塗りと研ぎ

アスナロ（ヒノキアスナロ）の木を方言で「アテ」と言います。
アテの木は石川県の県木にも指定されている馴染みの深い木です。
建材としても優れたアテの木を素材として使用します。

アテの木

漆塗りには乾燥の工程が欠かせません。
乾燥は非常に難しく、漆の生産地や精製時期等によって乾燥に適した湿度や時間が異なります。
また乾燥は、季節に応じて気温や湿度、乾燥時間を調節する必要があります。
せっかく綺麗に塗れても適切な環境で乾燥させなければ、乾燥後「縮み」と言われるシワができてしまい、品質が落ちてしまいます。
使用する漆に適した気温や湿度を調整しながら、乾燥させるため、塗る工程以外にも職人の経験と勘が必要となります。

乾燥の難しさ

漆塗りは、天然漆や木材が無くては成り立たない工芸品です。
漆も木材も限りある貴重な資源。
その資源を大切に使い、無駄が生じないように職人は色々な工夫しています。
SDGsの考え方は、新しい考え方ではなく、伝統工芸の職人の思想にも自然と根付いた考え方です。
当ショップで販売していますネクタイピンも、箸を作製する上で発生した端材を選定・加工し積極的に活用しています。
貴重な天然木を無駄にせず、製品に作り上げる能力も大切な職人技であると考えています。


伝統工芸とSDGs

石川県輪島漆芸（しつげい）美術館の「若手漆芸作家チャレンジショップ」にて作品を展示販売させて頂いております。
若手漆芸作家の作品に触れられる全国の美術館でも珍しい試みとの事です。
まだまだコロナ禍が続いておりますが、お近くにお越しの際には是非お立ち寄りください。

石川県輪島漆芸美術館はこちらです
https://www.city.wajima.ishikawa.jp/art/

美術館に展示出品させて頂いています

石川県輪島漆芸（しつげい）美術館の「若手漆芸作家チャレンジショップ」にて現在作品を展示販売させて頂いております。
先日作品を数点ご購入頂けたとの事で、本日追加の納品にお邪魔して来ました。
美術館周辺の桜も少しずつ咲き始め、春らしくなって来ました。
まだまだコロナ禍が続いておりますが、お近くにお越しの際には是非お立ち寄りください。

石川県輪島漆芸美術館はこちらです
https://www.city.wajima.ishikawa.jp/art/

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