人気バイヤーに聞きました。 選ぶ人のはなし
2015年の雑貨トレンドを教えてください!
- 修司
- 昨年もすでにそういう流れはあったように思うんですが、僕は、2015年、大きな意味で「健康的なもの、健全なもの」が来そうな気がします。
政治や経済などでも、日々目まぐるしく変化があると、「世相が複雑でわからない、不安だ」みたいなムードになったりすると思うんですけど、そんな中で自分の身の回りはせめてシンプルかつ、いいモノで満たしたい!という流れがあるんじゃないかと。例えばエコロジーにつながるリサイクル素材が盛り上がっていたり…っていうのもわかりやすい「健全なこと」ですよね。
他にも、ガーデニンググッズだったり、キャンプ用品などのアウトドアアイテムだったり、ジョギングにはじまるスポーツ系アイテムだったり。僕の中では、そういうトレンドを「健康的」という一つのキーワードで捉えている感じです。
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- すでにショップでも、そういったアイテムが増えていますか?
- 修司
- ガーデニングやアウトドア系のグッズをファッションアイテムとして提案したりしていますね。
うちは基本的には洋服屋さんなので、すでにあったスポーツだったり、アウトドアだったりっていう根強いトレンドがある中で、「じゃあ雑貨や小物も合わせやすいものを」って考えた時にそういうアイテムが合わせやすいよね、っていうのもありますが。
ご存知かもしれないんですが、洋服屋の業界で不景気の時に売れるのは「定番品」と「アウトドア系のグッズ」という定説があるんです。値段に対して正当さが見られている、ということですね。
逆に、バブリーになると、ブランド物だとか付加価値がよくわかんないけど高いものが売れるっていう。
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- トレンドにとがったものが挙がってきたら、景気がよくなってるということなんですね(笑)。
- 修司
- そうですね。今の日本だとハイファッション系のブランドはなかなか苦戦していて…。一時期に比べて、あまり見ないですよね、ブランド品とかハイファッションで固めている子たち。
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- 言われてみると、確かにそうかもしれません!
- 修司
- 僕は、ファッションのトレンドと同じく、雑貨にもそういう流れが来ると思います。デザインに凝ったような物よりも、素材や作りにこだわって、経年変化を楽しみつつ使えるものですね。長年続くとコストパフォーマンスがいいわけじゃないですか。そういう中で昔ながらのモノが見直されたり、っていうのもありますよね。

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- そういえば先日、B:MING LIFE STOREさんのカタログを拝見していて、昔の安全靴のような靴がすごくオシャレに提案されていて印象的でした!
- 修司
- ああ、それムーンスターさんの商品で、地下足袋を改造した靴ですね!すごいですね、よくご存知ですね~!
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- 子どものころに学校の体育館シューズとか上履きとかで馴染みがあったので目が吸い寄せられました(笑)。老舗のメーカーさんで、お値段も正当性があって、まさにトレンドにぴったりのアイテムですよね。
- 修司
- 長く使えて、アウトドアテイストで、しかも雨の日も使えて。コストパフォーマンスにおいても最高だと思います。あれ、ほぼ手作りなんですよ。職人さんが一つ一つゴムを巻いたり釜に入れて焼いたり…。まさにトレンドをぎゅっと詰め込んだ商品なんです。
- 美帆
- わたしもムーンスターのハイカットシューズを持ってます。
- 修司
- 本当ですか!この靴、久留米で作られているんですけど、元福岡のBEAMSにいた僕の先輩のつながりで知ったんです。
- 美帆
- 私は、福岡のショップ『once A month 』からのつながりですね。結構九州のメーカーさんとつながりがあったりするんです。他にも久留米メーカーさんのカバンを扱ったりとか…。
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- お二人に、おもしろいところで接点があってびっくりしました。
- 修司
- 結構ありますよ!いいものを求めていくのはみんな一緒なので。
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- なるほど、同じところにたどり着くということですね。では美帆さんのトレンド予測はいかがでしょうか?
- 美帆
- じわじわと作り手が増えているんですけど、もっと出てきてほしいなと思うのは3Dプリンターを使った作品です。アイデア次第で、未知の可能性がある領域だと思うので!個人の作家が、これまで工場がないと作れなかったようなものを作れる、という意味ではお店にとっては脅威かもしれませんが、おもしろいものを見たいという気持ちの方が強いので、もっと出て来てほしいですね!

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- 3Dプリンターを実際に体験されたことはありますか?
- 美帆
- 見に行ったことはあるんですけど、まだ使ったことはないんです。渋谷にも3件くらい体験できる場所がありますよね。それぞれ見に行って、3Dプリンタで作られたものを見て…作りたいなと思ったものをパッと作れる、っていうのはモノづくりをする人にとって可能性がどんどん広がっていくと思うんです。データが作れれば、技術力がそこまでなくても作りたいモノを作れちゃうっていう。おもしろいなあと思っています。
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- MEETSCALストアさんは、アイディア勝負の商品もよく紹介されてますよね!ちょっと前にスーツケースにお寿司のカバーをかける商品があったのが印象的でした。あちらはどなたのアイデアなんでしょうか?
- 美帆
- ありがとうございます(笑)。一番最初にインスピレーションを受けたのは、大分の空港なんです。搭乗する時に預けた荷物が回っているベルトコンベアありますよね、大分空港では、あそこで一番最初に寿司の大きいフィギュアが出てくるんです。で、その後に荷物がバーっと流れてくるんですが、この様子を撮った動画がYouTubeですごい再生回数になっている、っていうのを当時大分のパルコにいたスタッフに聞きまして。商品企画の打ち合わせをしていて「スーツケースを寿司のように見せるカバーがあったら面白くない?」ていう流れでつくったんです。ちなみにこれ、動画もつくって公開しています(笑)。
- 修司
- (画像を検索して)なるほど!そういうことですね、回転寿司!すごい、素晴らしい…!
- 美帆
- 2020年に東京オリンピックもありますし、最近では外国人のお客様も意識することが増えました。渋谷PARCOのMEETSCALストアにも外国のお客様は多いですし、成田のお店は商品を購入いただく方の50%ぐらいは外国人のお客様なので、そこに向けてキャッチーなものを作りたいな、と。
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- 外国の方から見て面白いと思える文化を商品化した、素敵なアイデアですね!
- 美帆
- あと、おみやげに限らずモチーフとしてのお寿司も結構来るんじゃないかなあと思っています。
ビームスさんでも、お寿司のiPhoneケースを販売されてましたよね。あれ可愛かったです!
- 修司
- ありがとうございます、iPhoneケースに立体的な寿司ネタがのっかっているシリーズですね。そう、あれもかなり売れているんです。寿司ネタいいですよね。
- 美帆
- 他にも、今回同じく「ハンドメイド大賞」のゲスト審査員を務められた、クロスステッチデザイナーの大図まことさんにグラフィックをつくってもらって、お寿司のTシャツを作りました。パッケージもマンガやTVに出てくる「酔っぱらいのおみやげ」みたいなパッケージにしてもらいました。

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- これですね(笑)。minneでも食べ物のモチーフがかなりありますが、その中でもお寿司ネタは人気があります。
- 美帆
- この間、お寿司のスーツケースの取材を受けたんですが、それも寿司モチーフが来ているという記事でして。ソックスだったり食玩をつかったアクセサリーだったり、和食がユネスコの世界遺産にも登録されているし、日本のキャラクターのひとつみたいなかんじで使われてるというのを感じました。
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- お寿司はビジュアルもキャッチーですもんね!