※こちらは販売作品ではなく、レターの内容を纏めたページです
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前回のレターに引き続き、新作のシリーズ“夢見る人魚”のアクセサリーの素となった物語について、作品紹介では語れなかった諸々を書いたものです
前回(ログ3)→ https://minne.com/items/43102577
の続き
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【魔女という存在】
この物語の中での魔女は、海に住む者達が望む薬を調合し、提供する事を生業とする者として登場します
その為、材料となる植物や動物の生態、そしてそれらを育む海、その外の陸と空
つまりは“世界”そのものについて膨大な知識を有しています
勿論、全てを網羅しているわけではありませんが、脈々と受け継がれた“魔女”達の全ては次世代の魔女へと注がれ、代を経る毎に益々深まり、魔女以外の者では到底及ぶ事のない量の知識を持つに至るのです
その為魔女は薬を調合する他にも、この海の世界を運営していくために必要な知識を分け与える、謂わばブレーンとしての役割も担っています
・受け継いだ知識を以て、海の世界を運営するための助言をする事
・薬を調合し、提供する事
これが魔女というシステムの役割なのです
「“魔女”は受け継がれる」といっても、世襲制ではありません
前述の通り、彼女達は特定の者と深く付き合う事は出来ず、ましてや子を成すという事は最大のタブーでもあります
そして生物の常として、子が親の資質を全て受け継ぐ訳では決してなく、その資質を持たぬ者には務まらない役割なのです
何かに情を持つ事は、平等ではなくなるという事
そうなれば、魔女の私情、匙加減ひとつで海の世界が滅びる可能性が生まれるという事に他なりません
その為実子に継がせるのではなく、その代の魔女が相応しいと判断した者を後継者に選定し、その者に持てる全てを授けてからこの世をひっそりと去るのです
不思議な事に、現世代の魔女が弟子を必要とする時には、その資質を持つ者が必ず存在してきたのだと伝えられています
そして実際、魔女というシステムは途切れる事なく現代まで存続しているのです
魔女というのは単なる職業ではなく、海の世界に於ける最重要システムのうちのひとつ。世界の細胞のひとつ。
個ではなく、役割のためにその生を全うする事を定められた者達なのです
しかし、どれほど理性的であっても魔女とて1人の人魚です
自身の背負うものの重さ、他人と交わる時に沸く様々な感情、そして長い時を共に過ごし己の全てを分け与える弟子への愛情…
様々なものがその胸の中に凝る事は、他の生物と何ひとつ変わる事がありません
それを、骨の髄まで叩き込まれた魔女としての生き方や、そうして生きて来た矜持で自制しているのです
この世界には、“絶対”という事はありません
どれ程盤石に見える事柄でも、針の穴程の綻びはあるものです
この世の流転の中で、魔女というシステムがどう移ろって行くのか。それは誰にも分からないのです
・・・・・
次へ続く
※こちらは販売作品ではなく、レターの内容を纏めたページです
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前回のレターに引き続き、新作のシリーズ“夢見る人魚”のアクセサリーの素となった物語について、作品紹介では語れなかった諸々を書いたものです
前回(ログ3)→ https://minne.com/items/43102577
の続き
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【魔女という存在】
この物語の中での魔女は、海に住む者達が望む薬を調合し、提供する事を生業とする者として登場します
その為、材料となる植物や動物の生態、そしてそれらを育む海、その外の陸と空
つまりは“世界”そのものについて膨大な知識を有しています
勿論、全てを網羅しているわけではありませんが、脈々と受け継がれた“魔女”達の全ては次世代の魔女へと注がれ、代を経る毎に益々深まり、魔女以外の者では到底及ぶ事のない量の知識を持つに至るのです
その為魔女は薬を調合する他にも、この海の世界を運営していくために必要な知識を分け与える、謂わばブレーンとしての役割も担っています
・受け継いだ知識を以て、海の世界を運営するための助言をする事
・薬を調合し、提供する事
これが魔女というシステムの役割なのです
「“魔女”は受け継がれる」といっても、世襲制ではありません
前述の通り、彼女達は特定の者と深く付き合う事は出来ず、ましてや子を成すという事は最大のタブーでもあります
そして生物の常として、子が親の資質を全て受け継ぐ訳では決してなく、その資質を持たぬ者には務まらない役割なのです
何かに情を持つ事は、平等ではなくなるという事
そうなれば、魔女の私情、匙加減ひとつで海の世界が滅びる可能性が生まれるという事に他なりません
その為実子に継がせるのではなく、その代の魔女が相応しいと判断した者を後継者に選定し、その者に持てる全てを授けてからこの世をひっそりと去るのです
不思議な事に、現世代の魔女が弟子を必要とする時には、その資質を持つ者が必ず存在してきたのだと伝えられています
そして実際、魔女というシステムは途切れる事なく現代まで存続しているのです
魔女というのは単なる職業ではなく、海の世界に於ける最重要システムのうちのひとつ。世界の細胞のひとつ。
個ではなく、役割のためにその生を全うする事を定められた者達なのです
しかし、どれほど理性的であっても魔女とて1人の人魚です
自身の背負うものの重さ、他人と交わる時に沸く様々な感情、そして長い時を共に過ごし己の全てを分け与える弟子への愛情…
様々なものがその胸の中に凝る事は、他の生物と何ひとつ変わる事がありません
それを、骨の髄まで叩き込まれた魔女としての生き方や、そうして生きて来た矜持で自制しているのです
この世界には、“絶対”という事はありません
どれ程盤石に見える事柄でも、針の穴程の綻びはあるものです
この世の流転の中で、魔女というシステムがどう移ろって行くのか。それは誰にも分からないのです
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次へ続く