大河ドラマ「光る君へ」の影響もあるが、紫式部、源氏物語の作品化を
試みようと思っている、その前に下調べということで…
源氏物語を分析!紫式部が込めた現代に生きる私たちへのメッセージを探る
要約
●光源氏とは、平安時代に代表される作家・紫式部の作品「源氏物語」の主人公のこと。
●光源氏は貴族の中でも低い身分でありながら、宮中の女性を虜にした相当なプレイボーイだった。
●最初の正妻である葵の上は、彼女に嫉妬したほかの女性に呪い殺されてしまう。
●光源氏をはじめ、周りの女性たちは誰一人幸せにならずに一生を終えるところに物語の「闇深さ」を感じる。
日本人なら一度は目にしたことがあるだろう「源氏物語」。平安時代、紫式部によって書かれたベストセラー小説である。
紫式部は、結婚後3年ほどで夫と死別。その寂しさを忘れるために物語を書いたことが、源氏物語の始まりである。
源氏物語は完成度の高さから、その後も鎌倉時代、江戸時代、そして現代でも研究され語り継がれてきた。
紫式部は源氏物語の中で、恋愛や貴族同士の権力闘争、出世への欲望を生々しく描いており、
物語はなんと登場人物が誰一人ハッピーエンドにならずに終了してしまうのだ。
紫式部は、自らの主張や思想を登場人物の生き様に描写して表現している。
つまり、紫式部が物語を通して読者に伝えたかったことは、光源氏や葵の上の生き様から読み取ることができるのだ。
それは「人を敬うことの大切さ」「人生における意思決定の重要さ」といった、
“人間としての豊かな生き方”を考えるためのメッセージであり、物語を紐解いていくと、
より具体的に紫式部の価値観がわかる。
歴史好きの筆者も平安時代に書かれた文学に対して難しそうなイメージを持っていたが、
決してそんなことはない。意外と現代人が読んでも面白いと思うだろう。
歴史が苦手な方も、ひとつの物語として源氏物語に触れてみてほしい。
光源氏のこじらせ女性遍歴
光源氏は、天皇と桐壺の間に生まれた美少年で、母・桐壺は光源氏が3歳の頃に亡くなってしまう。
その後、継母の藤壺に育てられることとなる。
光源氏は幼子のうち実母を亡くした経験から、母の面影を求めて数々の女性と関係を持つようになる。
主要人物は継母の藤壺、最初の正妻である葵の上、藤壺の姪である紫の上、光源氏の亡き兄の嫁である六条御息所、
兵庫への出張先で出会った明石の上など。光源氏が心を魅かれるのは「亡き母の面影がある」女性がほとんどだ。
光源氏が女性に対する価値観をこじらせてしまった原因は、母・桐壺が、光源氏が幼子のうちに亡くなってしまったことだと思う。
そのときに、光源氏が負った悲しみを心から癒してくれる人がいたならば、
生涯にわたり母の面影を追い続けることはなかったのではないか。
また、光源氏は「母の面影があれば誰でもいい」と数多くの女性と関係を持つことで、
母を亡くした悲しみを忘れようとしている。これは、紫式部が源氏物語の執筆を開始した理由と重なる部分でもあり、
紫式部は夫を亡くした自分の悲しみを、母を亡くした光源氏の悲しみに描写して表現しているところも面白い。
モテ男にも悩みあり?!光源氏の煩悩
継母・藤壺との間に生まれた息子がのちに天皇となり、光源氏には「准太上天皇」という高位な待遇が与えられる。
飛躍的な出世を果たし、地位・富・女性にも困らず、自分の思うままに生きてきた光源氏は、
正妻がいるにも関わらず一層派手な女性遊びを繰り返すのであった。
そして、遂にバチが当たってしまう。愛人であった六条御息所は生霊となり、正妻である葵の上を呪い殺してしまったのだ。
加えて、その後に正妻となった女三宮は、別の男性と密通していたことが発覚。
また、最愛の妻であった紫の上にも先立たれてしまう。
こうした出来事により思い悩んだ光源氏は、出家を決意。そして、他人の女性を奪ったり、女性を蔑ろに扱ってきたりした行為は、
多くの人を傷つけてきた暴力的行為なのだと気づくのであった。
源氏物語のテーマはまさに「栄枯必衰」
平家物語にもあるように、まさしく「一度栄えた者は、いつかは滅びる」。
光源氏自身が気づいたように、他者にした暴力的行為が自分を孤独にしたのだ。
「人生の豊かさを決めるものは人との関わりであり、人を大切にすること」だと、
光源氏の生涯を通して紫式部が伝えたかったのだろう。
大河ドラマ「光る君へ」の影響もあるが、紫式部、源氏物語の作品化を
試みようと思っている、その前に下調べということで…
源氏物語を分析!紫式部が込めた現代に生きる私たちへのメッセージを探る
要約
●光源氏とは、平安時代に代表される作家・紫式部の作品「源氏物語」の主人公のこと。
●光源氏は貴族の中でも低い身分でありながら、宮中の女性を虜にした相当なプレイボーイだった。
●最初の正妻である葵の上は、彼女に嫉妬したほかの女性に呪い殺されてしまう。
●光源氏をはじめ、周りの女性たちは誰一人幸せにならずに一生を終えるところに物語の「闇深さ」を感じる。
日本人なら一度は目にしたことがあるだろう「源氏物語」。平安時代、紫式部によって書かれたベストセラー小説である。
紫式部は、結婚後3年ほどで夫と死別。その寂しさを忘れるために物語を書いたことが、源氏物語の始まりである。
源氏物語は完成度の高さから、その後も鎌倉時代、江戸時代、そして現代でも研究され語り継がれてきた。
紫式部は源氏物語の中で、恋愛や貴族同士の権力闘争、出世への欲望を生々しく描いており、
物語はなんと登場人物が誰一人ハッピーエンドにならずに終了してしまうのだ。
紫式部は、自らの主張や思想を登場人物の生き様に描写して表現している。
つまり、紫式部が物語を通して読者に伝えたかったことは、光源氏や葵の上の生き様から読み取ることができるのだ。
それは「人を敬うことの大切さ」「人生における意思決定の重要さ」といった、
“人間としての豊かな生き方”を考えるためのメッセージであり、物語を紐解いていくと、
より具体的に紫式部の価値観がわかる。
歴史好きの筆者も平安時代に書かれた文学に対して難しそうなイメージを持っていたが、
決してそんなことはない。意外と現代人が読んでも面白いと思うだろう。
歴史が苦手な方も、ひとつの物語として源氏物語に触れてみてほしい。
光源氏のこじらせ女性遍歴
光源氏は、天皇と桐壺の間に生まれた美少年で、母・桐壺は光源氏が3歳の頃に亡くなってしまう。
その後、継母の藤壺に育てられることとなる。
光源氏は幼子のうち実母を亡くした経験から、母の面影を求めて数々の女性と関係を持つようになる。
主要人物は継母の藤壺、最初の正妻である葵の上、藤壺の姪である紫の上、光源氏の亡き兄の嫁である六条御息所、
兵庫への出張先で出会った明石の上など。光源氏が心を魅かれるのは「亡き母の面影がある」女性がほとんどだ。
光源氏が女性に対する価値観をこじらせてしまった原因は、母・桐壺が、光源氏が幼子のうちに亡くなってしまったことだと思う。
そのときに、光源氏が負った悲しみを心から癒してくれる人がいたならば、
生涯にわたり母の面影を追い続けることはなかったのではないか。
また、光源氏は「母の面影があれば誰でもいい」と数多くの女性と関係を持つことで、
母を亡くした悲しみを忘れようとしている。これは、紫式部が源氏物語の執筆を開始した理由と重なる部分でもあり、
紫式部は夫を亡くした自分の悲しみを、母を亡くした光源氏の悲しみに描写して表現しているところも面白い。
モテ男にも悩みあり?!光源氏の煩悩
継母・藤壺との間に生まれた息子がのちに天皇となり、光源氏には「准太上天皇」という高位な待遇が与えられる。
飛躍的な出世を果たし、地位・富・女性にも困らず、自分の思うままに生きてきた光源氏は、
正妻がいるにも関わらず一層派手な女性遊びを繰り返すのであった。
そして、遂にバチが当たってしまう。愛人であった六条御息所は生霊となり、正妻である葵の上を呪い殺してしまったのだ。
加えて、その後に正妻となった女三宮は、別の男性と密通していたことが発覚。
また、最愛の妻であった紫の上にも先立たれてしまう。
こうした出来事により思い悩んだ光源氏は、出家を決意。そして、他人の女性を奪ったり、女性を蔑ろに扱ってきたりした行為は、
多くの人を傷つけてきた暴力的行為なのだと気づくのであった。
源氏物語のテーマはまさに「栄枯必衰」
平家物語にもあるように、まさしく「一度栄えた者は、いつかは滅びる」。
光源氏自身が気づいたように、他者にした暴力的行為が自分を孤独にしたのだ。
「人生の豊かさを決めるものは人との関わりであり、人を大切にすること」だと、
光源氏の生涯を通して紫式部が伝えたかったのだろう。