ぱわーおに

みんなは力を手に入れたいと思ったことはありませんか？ おにはそれよりもさらに、現実的な問題として力を手に入れたいと思いました おには小さい頃から力が弱く、腕相撲でも負けてばかり ある日動物の飼育係をしていたおに ウサギ小屋を掃除するから一旦別の小屋にウサギを移動するように言われました おにはウサギを捕まえようとしました しかしおにには力がありません 暴れ狂うウサギになす術なくボコボコにされました 仕方ないから先生がてつだおうとするとウサギは素直に別の小屋に移動しました 力が欲しい 力があれば勝てる いや、余計な闘いを避けることができる また別の日 またウサギが暴れ回って傷だらけになったおに 保健室で手当をしてもらっていると保健の先生がいいました 「私は力は与えられない。その代わりに力があるようにすることができる。やる？」 返事をしたと思う 気がつくと夜だった 先生がいる でも起き上がれない 左手が重い 「起きたわね、あなたは最強の左手を手に入れたわ！」 重すぎて起き上がれないので右手で左手を支えてやっと起き上がった 「あなたの左腕に鉄を埋め込んだわ！筋肉隆々に見えるように鉄を溶かして造形したのよ」 次の日からおには注目を浴びる 重い左手を右手です支えながら生活する だれもバカにしなくなった ウサギもおにの姿を見てみるとすぐに別の小屋に移動した でもなんだか虚しい みんなバケモノを見るような眼 弱いと揶揄っていた同級生も近寄らなくなった 自分に自信がない 力はそんなものじゃなかった 日々の努力、それが身体を鍛え、自信に変わる 力が強いとはこころが強いこと 人に認められることを求めていたわけじゃなかった 自分に認められること それが他人に認められること おには気づく 左手を支える右手が太くなってきたことに