21.いまこむと《百人一首シリーズ》カチューシャ

いまこむといひしばかりにながつきのありあけのつきをまちいでつるかな (すぐにいきますよ、とあなたが言ったものだから夜の長い長月の明け方の、有明の月が出るまで待ち続けてしまったのです) 百人一首の素性法師の和歌をモチーフに、加賀ゆびぬきのカチューシャを作りました。 土台のカチューシャは、鉄製の芯を布でくるんであります。櫛歯はついていません。 表面の模様は絹手縫い糸をかがって描いています。 「すぐ」ってどれくらいでしょうか。この和歌は一晩待ち続けた、という解釈と何ヶ月も待ち続けた、という解釈があるのだそうです。 わたしなら、待てて一晩かなと思いますが、平安時代の女性は何ヶ月何年と待つこともあったのかもしれません。それだけ、相手を頼りに思っていたのでしょうね。 といっても、この和歌は男性が女性の心を推し量って詠んだ和歌で事実ではないのですが。 夜がだんだん明けていくイメージを紫から黄色へのグラデーションで表してみました。淡い黄色は夜明け頃の月の色です。 青海波という伝統模様のアレンジで、どこまでも平穏が続くようにという意味も込められています。 +++++++++++++++++++ るまんとは、ハンドメイド以外に、歌人としても活動しています。 およそ31音にこころや風景、あらゆるものを表現する短歌というものに魅せられてもう20年以上続けています。 ゆびぬきも、短歌・和歌も現代人にとってそれほど身近とは言えないものです。でも、もっと身近に感じてほしい、気軽に身に着けて、口遊んでほしい、そんな気持ちで、百人一首の歌をモチーフにしたゆびぬきアクセサリーを作る《百人一首シリーズ》を始めました。 るまんとの作品がゆびぬきや和歌・短歌に触れるきっかけになれれば、とてもうれしいです。 +++++++++++++++++++ 加賀の工芸品、加賀ゆびぬきをアレンジしたものです。 加賀ゆびぬきはその名の通りお裁縫に使うゆびぬきとして作られてきたものです。 なので、普通は指輪くらいのサイズなのですが、るまんとではそれをアレンジゆびぬきとして大きくつくってアクセサリーに加工しています。 表面は布を貼ったように見えますが、ひと針ひと針、絹の手縫い糸でかがって模様を作ってる、刺繍の一種です。 模様面は絹糸のすべすべつやつやとした質感です。 絹なので高級感がありますが、ぜひ日常のカジュアルな場面に取り入れてください。おしゃれ度をワンランクアップさせてくれます。 模様面は絹糸でできているため、濡れ・汚れに弱くなっています。 濡れた時はこすらず水分を拭きとって乾かしてください。