【かわせみ】
よだかはまっすぐに、弟の川せみの所へ飛んで行きました。きれいな川せみも、丁度起きて遠くの山火事を見ていた所でした。そしてよだかの降りて来たのを見て云いました。
「兄さん。今晩は。何か急のご用ですか。」
「いいや、僕は今度遠い所へ行くからね、その前に一寸お前に遭いに来たよ。」
「兄さん。行っちゃいけませんよ。蜂雀もあんな遠くにいるんですし、僕ひとりぼっちになってしまうじゃありませんか。」
「それはね。どうも仕方ないのだ。もう今日は何も云わないで呉れ。そしてお前もね、どうしてもとらなければならない時のほかはいたずらにお魚を取ったりしないようにして呉れ。ね、さよなら。」
『よだかの星』 宮沢賢治
思春期の頃、
私はこの場面でよだかに少しだけ腹を立てていた。
ひとりぼっちだと言いながら、
行かないでと言ってくれる者が居るのではないかと。
あまりに幼稚だった。
自らを生かすために食べてきたもの
其れ全てが生への対価だと
自らの死が近づいて気づいたよだか。
よだかは自らの死に絶望したばかりではなく、意味も無く失われてしまう自らの生の対価となってきた虫たちの唯一つの命に気付いた事に苦しんでいるのだろうと今は思う。
喉の奥で暴れる甲虫の、
爪の感触の鮮烈な描写は
よだかの苦しみ其のものなのだろうと。
其れでも、
かわせみの寂しさを思うと
どうしようもなく切なくなる。
---
素材:レジン
サイズ:10mm
※アレルギー非対応です。
※レジン部分は一つ一つ手作業で制作しております。個体差が生じますことをご了承ください。
ご購入の前に【注意事項】をご一読くださいますよう、重ねてお願いいたします。
【かわせみ】
よだかはまっすぐに、弟の川せみの所へ飛んで行きました。きれいな川せみも、丁度起きて遠くの山火事を見ていた所でした。そしてよだかの降りて来たのを見て云いました。
「兄さん。今晩は。何か急のご用ですか。」
「いいや、僕は今度遠い所へ行くからね、その前に一寸お前に遭いに来たよ。」
「兄さん。行っちゃいけませんよ。蜂雀もあんな遠くにいるんですし、僕ひとりぼっちになってしまうじゃありませんか。」
「それはね。どうも仕方ないのだ。もう今日は何も云わないで呉れ。そしてお前もね、どうしてもとらなければならない時のほかはいたずらにお魚を取ったりしないようにして呉れ。ね、さよなら。」
『よだかの星』 宮沢賢治
思春期の頃、
私はこの場面でよだかに少しだけ腹を立てていた。
ひとりぼっちだと言いながら、
行かないでと言ってくれる者が居るのではないかと。
あまりに幼稚だった。
自らを生かすために食べてきたもの
其れ全てが生への対価だと
自らの死が近づいて気づいたよだか。
よだかは自らの死に絶望したばかりではなく、意味も無く失われてしまう自らの生の対価となってきた虫たちの唯一つの命に気付いた事に苦しんでいるのだろうと今は思う。
喉の奥で暴れる甲虫の、
爪の感触の鮮烈な描写は
よだかの苦しみ其のものなのだろうと。
其れでも、
かわせみの寂しさを思うと
どうしようもなく切なくなる。
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素材:レジン
サイズ:10mm
※アレルギー非対応です。
※レジン部分は一つ一つ手作業で制作しております。個体差が生じますことをご了承ください。
ご購入の前に【注意事項】をご一読くださいますよう、重ねてお願いいたします。