71.ゆふされば《百人一首シリーズ》ポニーフック

ゆふさればかどたのいなばおとづれてあしのまろやにあきかぜぞふく （夕暮れが来て門の前に広がる田に稲葉の風に吹かれる音が聞こえます。葦で葺かれた粗末な家に秋風が吹いているのです） 大納言経信の和歌をモチーフに、加賀ゆびぬきのポニーフックを作りました。 表面の模様は、絹糸をかがって作っています。 作者は実際に葦のまろやにいたのではなく、そういう風景を空想して詠まれた和歌だそうです。 でも、実った稲の穂と葉が風にさやさやと音を立てているのが聞こえてきそうな、おだやかな涼しさが伝わって来るような、そんな和歌ですね。 風に吹かれる稲葉のイメージの黄と緑と白を、夕暮れのイメージのオレンジと薄紫で包むように作ってみました。 細かいくぐり刺しの繊細な模様とやさしい色合いです。 +++++++++++++++++++ るまんとは、ハンドメイド以外に、歌人としても活動しています。 およそ31音にこころや風景、あらゆるものを表現する短歌というものに魅せられてもう20年以上続けています。 ゆびぬきも、短歌・和歌も現代人にとってそれほど身近とは言えないものです。でも、もっと身近に感じてほしい、気軽に身に着けて、口遊んでほしい、そんな気持ちで、百人一首の歌をモチーフにしたゆびぬきアクセサリーを作る《百人一首シリーズ》を始めました。 るまんとの作品がゆびぬきや和歌・短歌に触れるきっかけになれれば、とてもうれしいです。 +++++++++++++++++++ 加賀の工芸品、加賀ゆびぬきをアレンジしたものです。 加賀ゆびぬきはその名の通りお裁縫に使うゆびぬきとして作られてきたものです。 なので、普通は指輪くらいのサイズなのですが、るまんとではそれをアレンジゆびぬきとして大きくつくってアクセサリーに加工しています。 表面は布を貼ったように見えますが、ひと針ひと針、絹の手縫い糸でかがって模様を作ってる、刺繍の一種です。 模様面は絹糸のすべすべつやつやとした質感です。 絹なので高級感がありますが、ぜひ日常のカジュアルな場面に取り入れてください。おしゃれ度をワンランクアップさせてくれます。 模様面は絹糸でできているため、濡れ・汚れに弱くなっています。 濡れた時はこすらず水分を拭きとって乾かしてください。