森の昼下がり

2021年7月11日 by mbu38305

森の昼下がり 太陽の光が射す不思議なキノコの森で、あご肘をついて笑いかけるチャーミングな少年うさぎさん。いたずら好きの妖精のようにもみえる瞳の輝きがたまりません。パステルカラーの優しい彩色によって、夢の森の物語にいざなわれます。哀しみも憎しみもない、優しい森に生えるキノコが、じつは眠りについた人間で、妖精うさぎさんが護り番なのかも、と見るほどに想像が尽きない作品です。うさぎさんの視線の高さで見ると、キノコの細かな造形にため息が出ます。 旅するウサギ 地図もコンパスもなく、差しのべた手で探るように大地を進むうさぎさん。すらりとした姿は、長い旅を経たうさぎさんの成長を感じさせます。人生は旅路で、人間は死ぬまで旅人でありつづける存在です。みな等しく最後は独りで歩くことになるでしょうが、この旅人うさぎさんの優しい眼差しは、恐れる必要はないよと語りかけているようです。うさぎそのもの愛らしい姿ではなく、人間に寄せた造形になさっているからこその、意味深い作品だと感じました。