北欧の風

　会津と北欧は似ています。しんしんと降り積もる雪。松や杉やトウヒの木。囲炉裏に顔を合わせておしゃべりをすれば、その暖かさやぬくもりは自然と親密な距離感や幸せを生み出します。 　薪ストーブ、薄暗い部屋の中で灯す蝋燭。テーブルにはまず花を…料理はそれから…と北欧でいうところのヒュッゲという幸せを生み出すために、手間を惜しまず心を尽くす姿勢もまた良く似たものです。 　共通するところは、少しシャイで暖かな人柄といったところもあります。ニシンを使用した保存食の文化なども。 会津と北欧の共通点はあげればキリがないのです。 　伝統的な北欧料理を勉強した私は漆器店を営む母にその文化の素晴らしさを伝えました。ヨーロッパに憧れを持っていた母はスウェーデンの伝統的な絵付けやペンキ、ラッカーの塗装に興味を示したのです。 　その後、ダーラヘストの可愛さ、カール・ラーションに代表されるようなダーラナ地方の可愛さ、そういったものから感じられる可愛さを抽出し、会津の伝統的な蒔絵師の職人さんに一つ一つ丁寧に伝え、試行錯誤し、そのまま模倣したものや、抽象的にしたもの、可愛さの感覚というものを会津漆器に落とし込むプロジェクトを開始したのです。 本物の木と、本物の漆、本物の技術で出来た会津漆器。蒲生氏郷公以来の会津の伝統産業に新しい風を吹き込みたい。それはきっとこの業界に携わる多くの人が感じ、悩み、試み、挫折し、そしてまた立ち上がる。その繰り返しの連鎖にあるのです。 多くの人に手に取ってもらい、会津の本物を感じて欲しい。その思いはきっとこの北欧からの風に乗って運ばれていく。その想いを込めて、この商品には『北欧の風 』と命名致しました。 会津塗椀 材　　栃 塗　　漆 直径　11.5センチ 高さ　5センチ 蒔絵　手書き漆蒔絵　リボン、デイジー、ベリー