意味解読の続報34 カフカの小説の中に「掟の門」という短いエピソードがあります。地方からやってきた男が宮殿の中に入ることに憧れているのですが、その門の前で横柄な門番の男に足止めをされます。そこからは遠くに霞んで宮殿はよく見えません。男はどうしても諦めきれず、その門の前で何日も過ごしますが、目に入るのは門番のひどく人間臭い様子ばかりです。男は次第に衰弱してとうとう門の前で死んでしまいます。すると死の間際に門番が男に謎めいたことを言います。「この門はお前だけのためにあったのだ」と。これは人生そのものです。宮殿は神です。人は神に憧れていますが、姿さえ知らず、その手前で遮断されていて、結局目にするのはひどく人間的なものばかりです。では門番の謎めいた言葉は何でしょう。実は憧れていること自体がすでに門の奥からの呼びかけに応じていることであり、門の奥は男の幻影です。手の届かない対象とそれに憧れている人とはこうしてねじれたループで円環を閉じます。手の届かないものを知る、にはこの不可能な呼びかけに応じるループしかないことに気がつけばいいのです。手の届かないものに憧れているならその絶望自体が最短のコンタクトなのです。
定形は文明を不定形は自然を象徴しています。
つまるところ自然とは、文明に抵抗してくるところのものであり、文明とは自然をコントロールすることですが、自然とはそれがままならず、それどころか文明を崩壊させてしまうものです。これまでほとんどの文明が、環境破壊の末に自然からのしっぺ返しを受けて滅んできました。人間における失敗とは、人為に対する想定外の自然の反作用のことです。
人間が発明した神という概念は、自然の中の空白(0の発明)のことであり、自然の因果連鎖を超えた非存在の無のことです。よって人間の目指すものは、自然の摂理を超えた霊魂の不滅(宗教)や、現世においては不老不死の欲望(科学)、以外にないことになります。
もし、この空白を信じるのをやめ、そこに託した希望や夢を断念してしまうと、人生の意味(物語)そのものが失われてしまうことになります。こうして人間の宿題は、未踏の空白とそこにふさわしい聖像を探す不可能な旅となります。
綿布にアクリル絵の具で描いた絵で、サイズは綿布が95×135㎝ほどです。綿布の生成り地の余白部分も作品のうちです。シリーズで50点ほどあります。
意味解読の続報34 カフカの小説の中に「掟の門」という短いエピソードがあります。地方からやってきた男が宮殿の中に入ることに憧れているのですが、その門の前で横柄な門番の男に足止めをされます。そこからは遠くに霞んで宮殿はよく見えません。男はどうしても諦めきれず、その門の前で何日も過ごしますが、目に入るのは門番のひどく人間臭い様子ばかりです。男は次第に衰弱してとうとう門の前で死んでしまいます。すると死の間際に門番が男に謎めいたことを言います。「この門はお前だけのためにあったのだ」と。これは人生そのものです。宮殿は神です。人は神に憧れていますが、姿さえ知らず、その手前で遮断されていて、結局目にするのはひどく人間的なものばかりです。では門番の謎めいた言葉は何でしょう。実は憧れていること自体がすでに門の奥からの呼びかけに応じていることであり、門の奥は男の幻影です。手の届かない対象とそれに憧れている人とはこうしてねじれたループで円環を閉じます。手の届かないものを知る、にはこの不可能な呼びかけに応じるループしかないことに気がつけばいいのです。手の届かないものに憧れているならその絶望自体が最短のコンタクトなのです。
定形は文明を不定形は自然を象徴しています。
つまるところ自然とは、文明に抵抗してくるところのものであり、文明とは自然をコントロールすることですが、自然とはそれがままならず、それどころか文明を崩壊させてしまうものです。これまでほとんどの文明が、環境破壊の末に自然からのしっぺ返しを受けて滅んできました。人間における失敗とは、人為に対する想定外の自然の反作用のことです。
人間が発明した神という概念は、自然の中の空白(0の発明)のことであり、自然の因果連鎖を超えた非存在の無のことです。よって人間の目指すものは、自然の摂理を超えた霊魂の不滅(宗教)や、現世においては不老不死の欲望(科学)、以外にないことになります。
もし、この空白を信じるのをやめ、そこに託した希望や夢を断念してしまうと、人生の意味(物語)そのものが失われてしまうことになります。こうして人間の宿題は、未踏の空白とそこにふさわしい聖像を探す不可能な旅となります。
綿布にアクリル絵の具で描いた絵で、サイズは綿布が95×135㎝ほどです。綿布の生成り地の余白部分も作品のうちです。シリーズで50点ほどあります。