小さな大人と生きていく

小さな大人と生きていく

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子どものためのものを作るとき、私は「子ども向けだから、このくらいでいい」とは考えたくないと思っています。 初めて赤ちゃんを迎えるにあたって、ベビー用品の色やデザインについて考えたことから、選び取りカードやひらがなポスターを作るまでを書いた文章の冒頭を、一部掲載します。 __________  赤ちゃんが生まれたら、この家もあの国民的キャラクターや原色バキバキのおもちゃが散乱するのかな。妊娠したことで急に自分ごとになって想像した。我が家のインテリアはヴィンテージのガラスショーケースをメインに据え、そのウッドの色味に合わせて家具を選んでいる。アートピースも極力モノトーンとペールイエローを基調に選び、世界観が割れないよう空間を設計してきた。ここにド原色のおもちゃが混ざる未来は、ちょっと想像しにくい。それが妊娠中の感想だった。そんなものは子供に主体性が芽生え、自分で欲しいものを選び始めたら終わるとわかってはいたが、かといって、赤ちゃんの時期から積極的に取り入れる必要はあるのだろうか。そもそもベビーグッズって、なんでパステルカラーや原色でカラフルなものが多いんだろう。  調べてみると、新生児から低月齢の間は視力がまだ弱く、白黒のようなコントラストの強いものが見つけやすいことは定説のようだった。だから妊娠すると乳首の色が濃くなるのだ、という嘘か真かわからない話は、妊娠経験のある女性なら一度は聞いたことがあるんじゃないだろうか。やめてほしい。妊娠中はとかく嫌になるような症状のオンパレードに襲われることになるが、本当にやめてほしい。まずもって、二次性徴で毛が生えるのも意味がわからなくて嫌だった。そんなちっぽけな毛が生えたところで何が守れるというのか。これは関係ないっちゃないのだけど。ちなみに私が妊娠中いちばん気が狂いそうになったバグを報告すると、肌が異常に痒くなったことだった。まあこれも関係はない。  家に置くインテリアをとことんまでこだわる性質をベビー用品にも発揮して、私は気に入るデザインを血眼になって探した。いろいろ見た中で、ひときわ異彩を放っていたのがムナリモビールだ。名前の通り、デザインに関わっていれば知らぬ人はいないブルーノ・ムナーリが考案したもので、白と黒の幾何学模様とガラス玉だけでできた、ミニマルでなんともモダンなモビールだ。生後2ヶ月頃までは、強いコントラストで表された単純な図形や光の反射が赤ちゃんの目の発達によいとされ、そのようなデザインになるらしい。思えば土器の模様やプリミティブな民族の文様には幾何図形が多用されている。生物の授業では、人間の胎児はいまだに脊椎動物共通の古い設計図を使っていて、発達途中ではエラや尾のようなものが現れ、進化の名残が見えるのだと学んだことがある。古い歴史は変化しながら受け継がれ続けている。人間の始まりには幾何図形がまずあるのかもしれない。  ムナリモビールは採用しなかった。結局これだというものが見つかる前に、息子にとってのおばあちゃん、私の母がベッドメリーを買い与えたので検索終了となった。ただこの存在を知ったことで、なんだ、結局大人が見てモダンだと感心するデザインが、赤ちゃんにとっても良い場合があるんじゃないか、と思った。 __________ この先、子ども向けデザインへの違和感、妊娠中に美しいベビー用品を探したこと、そして選び取りカードとひらがなポスターを作るまでを書いています。 本文の完全版は、noteにて「小さな大人と生きていく」というタイトルで公開しています。

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