私がハンドメイドを始めたのは、娘の睡眠障害がきっかけでした。
娘は産まれたときから、ほとんど眠れない状態が続き、私たちは毎日辛い日々を過ごしていました。
唯一、車に揺られているときだけ、娘はほんの少しウトウトと眠ることができました。
真夜中、眠らない娘を少しでも休ませるために、私は娘を車に乗せてドライブをする毎日。
深夜の静まり返った道路を走りながら、娘が眠れる時間を確保することだけを考えていました。
そして、車の中で娘がようやく眠ってくれた間に、私自身は車の中で仮眠を取る、そんな生活が続いていました。
当時の私は孤独でした。疲れ切って、前に進む気力も失い、「私には何もない、このまま私の人生は終わってしまうのだろうか」とさえ思っていました。
そんな中でふと、「車の中で静かに娘を起こさないように、私にも何かできることはないのだろうか」と考えました。
そして手に取ったのが羊毛フェルトでした。
娘が眠る間のわずかな時間を使い、小さなキーホルダーやヘアアクセサリーを作り始めたのが、私のハンドメイドの原点です。
この何気ない始まりが、少しずつ日々を変えるきっかけになりました。
ハンドメイドを続けていく中で、私の作品を誰かが喜んでくれる。笑顔になってくれる。誰かの役に立てたことがとても嬉しかった。
気づけば、私はハンドメイドを心から好きになっていました。
今でもスペシャルニーズな子どもの、さらに私はひとり親であり「母親」として生きることに費やす時間がほとんどです。でも、私自身の心の中にはずっと葛藤があります。
「母親として生きる」ことは大切だけれど、「私は私」としても生きていたい。
女性として生まれたから。障害がある子どもがいるから。
そうした理由で自分の存在を諦めてしまったり、失ったりしたくなかったのです。
ハンドメイドは、そんな私にとって、自分自身として生きる大切な時間であり、私の「生き方」そのものになりました。
これからも、私の作る作品が、手に取ってくださった人やその周りの人たちの心温まるものであるように。
そして、私自身も一歩一歩、進んでいきたいと思います。