++世界の終わりは螺鈿色++

++世界の終わりは螺鈿色++

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弥光商店で御座います。 雨の日取りが増えてくる頃です。 水の滴る音を聞いていると どこか心が遠く思い出へと誘われるような、 そんな感覚に陥ることがよくあります。 遥か昔のことになりますが 一度、終わりを迎える星の最後の姿を 見届けたことがありました。 「星の最後」というと 燃え尽きて消失する事象を思い浮かべがちですが 決してそうではなく 静かで優しい瞬間でした。 夜。 オーロラのように靡く紫紺の空気に包まれると 朝を迎えるにつれ、柔らかく光る白い虹色になり ちょうど、水たまりに雫が落ちるような音がして 波紋のように星じゅうの空へと広がっていく 音が凪いだ頃、星は息を止めました。 真珠、のようだと思いました。 貝殻の中で大切に育てられた自然の宝石。 あの柔らかな色合いは、長らくの間 閉じられた世界にて愛と慈しみで育まれたもので 他の鉱物には決して感じられない 命が育てた尊さと優しさに満ちています。 貝殻の中の景色は当然まっ暗闇でしょう。 真珠は自分がどれほど美しいか知らずに育ち 人から「綺麗だ」と言われ、初めて気づくのです。 しかし、真珠を見るには貝殻を開くことが必要で 母なる揺籠はその時、命を断たれ 我が身と引き換えに育てた美しい命を 多くの人から愛でられることになります。 あの黄昏から夜明けまでの時間は 甘い暗がりから薄く浅い隙間が出来て そこに暖かい光が差し込むように 世界が拓かれていくような景色でした。 ちょうど、真珠貝を開くように。 大きな真珠のように今でも輝いている その星の欠片を拾い上げ夜と朝をモチーフに アクセサリーへと仕立てました。 世界の終わりは螺鈿色。 始まりは常に終わりと共にあります。 それでは、また。

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石と硝子を紐で編む店

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